榊原・嶌のグローバルナビ


Big name

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第420回 2009年2月14日 放送

品質も値段も高くてなかなか手が届かない海のダイヤ、「クロマグロ」。そのクロマグロの完全養殖に世界で初めて成功したのが近畿大学の水産研究所です。クロマグロは大きいもので150キロを超える巨大な魚ですが、その見かけに似合わず臆病でデリケートな性質の持ち主。そのため、卵を産ませて人工ふ化をする完全養殖は不可能だと言われてきました。

勿論、技術的な難しさもあります。例えば、卵から孵化したばかりの10日間で「沈降死」という謎の死を遂げてしまうこと。未だに原因は不明ですが、この時点で9割が死んでしまいます。また、生き残った稚魚が幼魚に成長する段階で「共食い」が始まります。そこを生き抜き、大きく成長してからも、車の音やライトなどの外部の変化に敏感に反応、パニックを起こし死んでしまうケースも少なくありません。しかし、近大の水産研究所は、そうした困難を32年の歳月をかけ乗り越え、ついに完全養殖を成功させたのです。

近年、健康志向を背景にマグロ人気が世界的に高まる一方で、水産資源の保護の観点からその漁獲規制は強化されています。天然物が採れにくくなる一方でニーズが高まっているのですから、まさに養殖マグロの出番到来なのです。

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