榊原・嶌のグローバルナビ


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第419回 2009年2月7日 放送

世界のエネルギー源の3割近くを担っている石炭。中でも「瀝青炭」と呼ばれる高品位の石炭は、燃焼効率が高く広く使われています。ところが、その瀝青炭は9000億トンあるという世界の石炭埋蔵量のおよそ半分しかなく、残りの半分は工業用途には向いていない品質の低い石炭です。特に埋蔵量の2割近くを占める「褐炭」は水分を多く含み燃焼効率が低いため、これまであまり利用が進んでいませんでした。その“使えない石炭”=褐炭を高品位の瀝青炭並みの品質に変えてしまうという夢のようなプロジェクトが、去年12月にインドネシアのカリマンタン島で本格始動しました。

それを可能にしたのは神戸製鋼のオンリーワン技術、“てんぷら”です。てんぷらは、褐炭を油で揚げて中に含まれている水分を飛ばすというユニークな技術で、「担当者の情熱、そしてそれを長期的に見たマネジメントのセンスが実現させた」と犬伏社長は話します。現在インドネシアの実証プラントでは日産600トンの改質褐炭を製造していますが、2010年には日産5000トン規模の商業プラントの稼動を目指しています。

そして、もう一つ、これまでの常識を打ち破る技術があります。今年の夏に本格稼働を始めるITmk3(アイティーマークスリー)です。ITmk3では従来の高炉を使った製鉄法では使えなかった品質の良くない鉄鉱石と石炭から鉄を作ることができます。「改質褐炭と同じでこれからの資源の枯渇問題にどう対応していくかという一つの切り口」と犬伏社長。さらに高炉では原料を投入してから鉄鋼製品の元となる銑鉄ができるまでおよそ8時間かかっていましたが、ITmk3ではわずか10分で銑鉄並みの純度がある粒鉄を作れます。また、設備投資が高炉に比べ格段に少なくすみ、生産量の調整も容易と様々なメリットがあります。

てんぷらをヒントに石炭を改質。そして鉄鉱山のふもとに設置し、資源に付加価値をつけて売ることができるITmk3。神戸製鋼は厳しい経営環境にあっても未来への種まきを絶やしません。

「人の情熱と志を大切にし、会社全体でものづくりに対するセンスを磨くことが長い目で見ると花開く技術につながる」

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