榊原・嶌のグローバルナビ


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第403回 2008年10月4日 放送

今年9月、美脚の持ち主を表彰する「パーカッシオ美脚大賞」に女優の広末涼子さんや瀬戸朝香さんらが選ばれました。大賞の名に冠された「パーカッシオ」とは高級人工皮革のことで、天然皮革の質感を持ちながら、重さは3割軽く、手入れもし易いという特徴を持っています。このパーカッシオを開発したのが化学メーカーのクラレです。クラレは、1964年に世界初の人工皮革を開発し、その素材は靴やランドセル、カバンなど、生活の様々なところで使われてきました。さらに、今年開かれた北京オリンピックのバレーボールの公式試合球にも使われるなど、その品質は世界でも高く評価されています。人工皮革の分野でクラレの世界シェアは25%、世界ナンバーワンの地位を築いています。そして、その世界ナンバーワンのシェアを獲得するモノ作りは、様々な分野に及んでいます。

液晶テレビやパソコンのディスプレイに欠かせない偏光フィルムの製造に使われる「液晶用ポバールフィルム」はクラレが開発した素材で、世界シェアは80%と圧倒的です。しかも、この液晶用ポバールを作ることのできる企業は世界で2社だけ。クラレはライバルがなかなか真似の出来ない技術を開発し、その競争力高め、市場での優位性を発揮してきたのです。

圧倒的な世界シェアを誇る素材はまだあります。ケチャップやマヨネーズなどの容器に使われるプラスチックの一種「エバール」。15年の歳月をかけてクラレが開発しました。このエバールは酸素を遮断するという特徴を持っていて、食品の長期保存を可能にする素材です。0.5ミクロンという薄さのフィルムに加工し、ポリエチレンなどの一般的なプラスチックと組み合わせて使われています。このエバールを作れるメーカーは世界で2社だけ。クラレの世界シェアは70%にも達しています。

クラレは82年前に創業。以来、独自技術にこだわり付加価値の高い新素材を生み出してきました。そんなクラレの企業文化は創業者である大原孫三郎氏が残した言葉がベースとなっています。それは「世のため、人のため、他人(ひと)のやれないことをやれ!」というもの。まさにこの言葉通り、ベンチャー精神あふれる大原孫三郎氏は、倉敷の街でクラレの前身である「倉敷絹織株式会社」を立ち上げ、日本初の合成繊維「ビニロン」を開発しました。その後もクラレは、市場にはない新素材を開発してきたのです。

そして今、クラレが最も力を入れているのは未来の事業の柱を育てるための研究開発です。未来に化ける新素材="ミラバケッソ"というキャッチコピーを掲げ、70にも及ぶ研究開発を行っています。今、開発している素材がエバールやポバールフィルムのような大ヒット商品に育つのか?誰も予測できない未来への挑戦です。

「事業をするに当たって一番大切なことは社会貢献。 利益を追求するだけでなく世界経済、世界の人々のためにという風に 次元を高めなくてはいけない 」


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