榊原・嶌のグローバルナビ


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第394回 2008年8月2日 放送

東京駅構内にある駅弁売り場は、サラリーマンや旅行客が次々と訪れ、50種類の駅弁が毎日1万個以上、多いときには2万個も売れていきます。この駅弁の製造、販売を手がけるのがJR東日本グループの日本レストランエンタプライズ=NREです。NREでは800円からの商品を揃えていますが、一番人気の牛肉弁当は1000円、2番人気の吹き寄せ弁当は1300円と、実は比較的高い駅弁の売れ行きが好調です。また一日30個限定の風呂敷に包まれた2段重ねの高級駅弁も3800円という価格にも関わらず、順調に売れています。今では、こうして売れている駅弁ですが、苦戦を強いられたときもありました。

90年代後半、NREはコンビニの弁当に対抗して低価格化を推し進めました。しかし、売れ行きはさっぱり。今は年間650万個を売る駅弁ですが、このときは500万個を割り込んでしまいました。駅弁を求める客は、単に安さを求めていたのではなかったのです。そこで、大きな戦略転換を決断します。販売価格を引き上げるかわりにそのクオリティをアップさせる戦略を打ち出したのです。価格に見合う内容があれば客は納得し必ず売れる、と考えたのです。

クオリティアップの重要なポイントは、冷めても美味しい駅弁。そのための工夫も凝らしました。NREでは、炊き上がったご飯をすぐさま真空冷却機に入れ、わずか10分で80℃から27℃まで一気に冷まします。27℃という温度は、冷めてもご飯が美味しく食べられる温度で、研究に研究を重ねて27℃に辿り着きました。また一気に冷ますことで空気に触れる時間を出来るだけ短くし雑菌が入りにくくなるなど、安全面でのプラス効果も生まれています。

こだわったのは味だけではありません。見た目の華やかさも追求してきました。一つはパッケージのデザイン。中身が見えない駅弁だからこそ、期待を持たせるインパクトが必要だと言うのです。そして、もう一つは蓋を開けた時の盛り付け。彩り豊かで感度を与えるレベルに達する華やかさが必要だと社長の荻野さんは語ります。

NREのヒット駅弁の秘密。それは"蓋を見て、開けて、食べて、3度感動できる華やかさ"だったのです。

「食べて頂戴!って叫んでいるような駅弁がヒット商品になる」


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