榊原・嶌のグローバルナビ


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第384回 2008年5月24日 放送

今年4月、大阪で「世界ラーメンサミット」が開催されました。この国際会議には、世界21カ国、60社以上の即席めんメーカーが参加。ホストカンパニーである日清食品の安藤宏基社長が議長を務め、「50年後の未来に即席めんはどうあるべきか」というテーマで食の安全性や原材料費の高騰など世界規模の課題について熱い議論が展開されました。

このラーメンサミットが、今年、大阪で開催されたのには理由があります。実は50年前、日清食品の創業者である安藤百福氏が世界初の即席めん「チキンラーメン」を生み出したのがここ大阪。つまり大阪は、インスタントラーメン誕生の地なのです。それから50年が経ち、今や即席めんは世界で年間1000億食近く消費されるほどグローバルな食に成長、しかも、まだまだ市場は拡大基調にあり、年率10%で消費が伸びているというから驚きです。

日清食品は50年前にチキンラーメンを発明して以来、容器入りの「カップヌードル」や「焼きそばUFO」、うどんの「どん兵衛」など次々とヒット商品を生み出してきましたが、その商品開発力の裏には「カニバリゼーションを恐れない」という理念があります。ブランド毎に分かれた9つのグループが、商品開発や営業を激しく競い合っていて、まさにライバルが社内にいるという状態。その代表的な例は、チキンラーメンのグループがカップヌードルに対抗して容器入りタイプを開発したこと。通常は自社の商品とシェアを食い合う可能性がある競合商品を自ら出すという考え方はしません。それが大ヒット商品ならば尚更です。

これに対し日清食品では、あえて社内で競合状態を作ることによって、強いブランドをさらに鍛え上げようとしています。安藤社長は「社内で勝てない商品は市場でも勝てない。」と考えているからです。カップヌードル以外のグループが掲げる目標は"打倒!カップヌードル"。売上ナンバーワンのカップヌードルを追い越そうと、商品開発に挑んでいます。また、先頭を走るカップヌードルも発売から37年経った今年、ついに大改革。発砲スチロールだった容器を紙の容器「ECOカップ」に変え、地球環境に優しい商品という新たなブランド価値を高めようとしています。

こうして創業50周年を迎えた日清食品が、新たな50年に向けてスタートさせたプロジェクトがあります。「百福士」と名付けた社会貢献活動です。百福士とは安藤百福氏の名前から取ったもので、これからの半世紀、年に2つ、計100の社会貢献を行おうというモノ。その第1弾としてアフリカ・ケニアの子供達にチキンラーメンを届けるプロジェクトが実施されました。日清食品の陸上部で活躍するに長距離ランナー、ジュリアス・ギタヒさんが母校を訪問。インスタントラーメンにまったく馴染みのない後輩達にチキンラーメンを食べて貰ったのです。アフリカの人達がインスタントラーメンを食べるようになれば、決していいいとは言えない食糧事情の改善につながるかもしれない。そんな想いがこのプロジェクトを動かしています。

今年、安藤社長は企業理念を一新し「EARTH FOOD CREATOR」という言葉を掲げました。インスタントラーメンの原材料である小麦や野菜などは土から生まれたものであり、「地球食としてのクリエーターでありたい!」という思いからです。また、それは安心で安全な商品を提供していくという食品メーカーにとっての使命を誓ったものでもあります。インスタントラーメン50年の歴史を作ってきた日清食品は、いま、新たな50年へと踏み出しています。

「穀物がバイオ燃料に変わり、価格上昇に歯止めがかからないが、燃料と食料は分けて考えたい。人間にとって一番大切なのは"食"であって、価格上昇にストップをかけなければ、私達の食生活が脅かされる事態に陥りかねない」


1年間になんと1000億食近いインスタントラーメンが世界中で食べられているということに、先ずびっくり。

そのインスタントラーメンの生みの親、安藤百福さんのご子息が現社長で、子供の頃には、一緒にインスタントラーメンを作っていたそうです。まさにインスタントラーメンが世界に浸透していくのを、直に見てこられました。家族でやっていた商売が、ここまで大きくなると思っていらっしゃったでしょうか。

実は安藤百福さんがインスタントラーメンを開発したお話しを、中学生のとき読んだことがあり、とても印象に残っていました。「日本人にこんな凄い人がいるんだ!」って。ですから、そんな人の自筆の色紙を安藤社長がお持ちになったのを見て、「本物だ!」と興奮してしまいました。色紙の隅から隅までいっぱいに使った堂々とした字体でした。少し前、宇宙食に日清食品のラーメンが採用されましたが、そもそもそれは、百福さんの「宇宙にラーメンはいいな」というお考えからだとか。夢もいっぱいお持ちだったのでしょう。

さて、話しはがらりと変わりますが、私は中学時代にメキシコに住んでいました。そして、ちょうどその頃、インスタントラーメンがスーパーに並び始めたのです。特に「Chile con lemon」というレモン風味のチリソースラーメンが人気だったんですが、味が日本とは少し違うだけでなくて、その食べ方も???。茹でずに乾燥したままの麺に粉末のスープをふって食べていたのが印象的でした。所変われば味の好みも変わりますが、食べ方も色々ですね、と言うか本当によかったのでしょうか。世界中で1000億食ですから、味も食べ方も奥が深いのでしょう。安藤社長は年間2000億食くらいまで伸びるとお話しされていました。もっと変わった味や食べ方が生まれるかもしれませんね。

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