榊原・嶌のグローバルナビ


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第381回 2008年5月3日 放送

「私のモチベーションは会社を大きくすることではなくて、面白いものを作って、ロボットが実用化されていく未来に向けてのインパクトを与えること」

京都大学発のベンチャーとして誕生したロボ・ガレージの代表を務める高橋さんは、ロボットの技術開発・デザインから製造に至るまで、一貫して一人で行う、世界で唯一のロボットクリエイターとして活動しています。

高橋さんの創る二足歩行ロボットは、愛くるしいデザインと自然な歩き方が特徴です。「クロイノ」と名付けられた大きな目のロボットは、高橋さんの代表作。英語の「クロニクル」にかけて「歴史に残る」という意味を持たせたのですが、2004年、その名の通りアメリカの「TIME」誌に『その年の最も優れた発明品の一つ』として取り上げられ、スムーズな二足歩行を実現する特許技術が絶賛されました。

「そもそもそれまでの二足歩行ロボットが中腰で歩いているところが格好悪くて嫌だと思いまして。ロボットを見て機械だけど、生きているように感じるためには、親しみやすい外観や、自然な動きが必要だと」

ロボットクリエイター、高橋さんの原点…。それは、幼稚園のときに出会った「鉄腕アトム」です。ロボ・ガレージを創業した2003年4月7日は、実は、物語の中でアトムが誕生したとされる日。アトムを生んだロボット博士に憧れ、工作に熱中していた少年は、やがて、京都大学工学部に入学。本物のロボット博士を目指し歩み始めたといいます。

滋賀県大津市にある実家の二階の6畳間が高橋さんの工房です。これまで、そこで20種類程のロボットが生み出されました。独創的なデザインのロボットを作る高橋さんですが、その製作スタイルもとってもユニーク。実は、正確な設計図を書きません。頭の中に浮かんだロボットのイメージをスケッチして、それを元に作業を進めていくのです。

「一人で作っていると設計情報を共有する必要が無いし、部品も自分で作るので設計図を工場に渡す必要も無いからです」

高橋さんは、一般の人々が、家電製品を買うようにロボットを購入する時代が来ると考えています。

「テレビやエアコンだけでなく、ホームセキュリティーや電気自動車など、ロボットが機械のネットワークと人間との間を取り持ってくれる『マンマシン・インターフェイス』として、コミュニケーションをとっていくのではないでしょうか」

皿を洗うのが面倒だからロボットにやってもらう…、という既存の作業の代替ではなく、人間のパートナーになっていく未来像を描いているのです。「一家に1台、ロボットがいる未来」は、もうすぐそこです。

「家庭に来たロボットは『ホームステイでやってきた交換留学生』というイメージです。自分たちと得意なことが違う、ちょっと変わったヤツが家にいるという…。ロボットが暮らしの中で助けてくれることもあれば、我々が助けてあげなければならないときもあるんです」


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