榊原・嶌のグローバルナビ


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第371回 2008年2月23日 放送

 「ゴルフは、お金のかかるスポーツ」
そんなイメージを払拭し、新たな市場を掘り起こすことに成功した企業、それがゴルフパートナーです。バブル崩壊以降、縮小傾向に歯止めがかからないゴルフ関連市場の中で、孤軍奮闘。「中古ゴルフ用品の販売」を武器に、業績を伸ばし続け、07年春、東証マザーズにも上場を果たしました。「3万円もあれば、恥ずかしくない、クラブが1セット手に入ります」と石田社長は言います。そんな価格面での魅力もさることながら、従来のゴルフショップにはなかったような様々なサービスを展開することで、ゴルファーたちの支持を集めているのです。

ゴルフパートナーのビジネスモデルは、実にユニーク。例えば、中古用品を取り扱う店でありながら、新品の販売にも、力を入れて取り組んでいるのです。そのわけは、「比較的新しい人気モデル」を中古市場に流通させることにありました。新品を買ってもらった客に、なるべく早く新しいクラブに買い換えてもらい、使っていたクラブを「すぐに買い取る」… そんな戦略が見事に的中。新しくて、質が高く、そして人気のある最新モデルを、今度は「中古」として、店に並べることが出来るようになったのです。

また、ゴルフパートナーは、全国におよそ230もの店舗を構え、そのネットワークを活かしたビジネスモデルを構築。ITを使って、他社には真似の出来ない、物流・在庫管理システムとして、まとめあげました。「バーディーネット」と名付けられた、このネットワークでは、店に置いてある端末を通し、もし、探しているクラブがその店に並べられていなくても、簡単な操作ひとつで、よその店から取り寄せることも可能。利便性は大いに向上しました。

また、石田社長は、「中古ビジネスは、買い取りこそが重要」と強調します。品揃えが良くなければ、「安かろう、悪かろう」と思われ、客は離れていってしまいます。そこで、そのとき、そのときの適正な価格で中古クラブを売買する仕組みも作り上げました。全国の店舗で行われている「買い取り」ですが、その指針となる「基準の価格」は、全国の店舗での膨大な量の売買データをもとに、本部の査定部で一括して作成されているのです。「230店舗ものネットワークを持っているゴルフパートナーだからこそできる、価格設定」だと、石田社長は胸を張ります。

また、良い中古品を見極めることが出来る店舗スタッフの育成にも、力を入れて取り組んでいます。毎月2回ほど開催されているのは、新人店長やフランチャイズのオーナーを対象とした査定の研修。集中的に1〜2週間ほどの講義を行い、確かな目を持ったスタッフを養成しているのです。

ゴルフ人口の減少や客単価の下落によって、すっかり元気をなくしているゴルフ市場… ゴルフパートナーのような経営努力によって業績を伸ばしている会社は、ごくわずか。「勝ち組と負け組みに分かれる」という2極化現象は、ここにも起きています。

ゴルフ市場は、業界全体が知恵を出し合う場が、まだ少ない。横串をさすような取り組みや例をもっと増やしていきたい


社長を年齢で区分けするのはおかしい時代かもしれませんが、石田社長は昭和45年生まれの37歳。5年前に社長に就任し、経営難に陥っていたゴルフパートナーを改革、今では売り上げ99億円という中古ゴルフクラブのトップ企業に育て上げました。

改革のポイントは品揃え。ほとんどのクラブが発売から3年未満のものとのこと。中にはモデルチェンジしてから一週間で店頭に並ぶそうです。考えてみれば、一度使っただけで中古になってしまうのですから、新品にこだわらずに、効率よく中古を利用するのも賢い方法かもしれませんね。最近は、ゴルフ場を舞台にした合コン、「ゴルコン」も人気らしいので、むしろ少し使い込んだクラブを持っているほうが通に見えていいかも…。

クラブの価格は毎週変わるそうです。随時チェックするのも面白いかもしれませんね。

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