榊原・嶌のグローバルナビ


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第330回 2007年5月5日 放送

4月25日、リゾートホテル箱根プリンスが「ザ・プリンス箱根」に名前を変えてリニューアルオープンしました。今回のリニューアルでは「和モダン」をコンセプトに客室を全面改装、温浴施設やエステルームも新たに作りましたが、一番の目玉は芦ノ湖を眺めながら優雅に朝食がいただける「バルコニーブレックファースト」。有機野菜やこだわりの食材を使ったメニューを味わいながらリラックスしてゆっくりと時間を過ごしてもらえるような空間作りにこだわりました。プリンスホテルは今、従来のイメージを一新する大改革へと乗り出したのです。

箱根や軽井沢などプリンスホテルを代表するフラッグシップは「ザ・プリンス」の冠を付け、赤坂や高輪など都市型で多目的・多機能を特徴とするホテルは「グランドプリンス」と命名、そしてその他のホテルは「プリンス」ブランドとして客室やレストランなどをリニューアルし、3ブランド体制を構築したのです。このようにプリンスホテルが大改革に踏み切ったのには訳があります。

以前のプリンスホテルは、海外も含めると最大で80拠点も構えながらも、その全てがプリンスホテルという単一のブランドで展開していました。現在でも拠点数は66を数えますが、しかし、ビジネスや旅行、宴会など客の使用目的は様々で、一つのブランドでそれに応えて行くには限界があったのです。また、かつての拡大路線を修正。ホテルに加えてスキー場やゴルフ場など、その将来性や収益性を精査した上で売却や閉鎖などを進めました。こうして企業体質を強化した今、ブランドを再構築しようと決断したのです。

ブランド改革に乗り出したプリンスホテルは、女性客の取り込みを強く意識しています。ザ・プリンス・バークタワー東京では男子禁制の女性専用フロアーを展開。女性を突破口にして、その友人、家族と幅広く顧客層を広げる戦略です。

また、プリンスホテルは、ホテル業界の「2007年問題」、外資系高級ホテルの相次ぐ参入にも直面しています。2005年の「マンダリンオリエンタル」と「コンラッド」の上陸に始まり、今年3月には「ザ・リッツカールトン」が開業、9月には「ザ・ペニンシュラ」もオープンします。東京のホテルマーケットは、まさに戦国時代の様相。これに対しプリンスホテルは、外資系には無いプリンスの強みをアピールする戦略。つまり、全国のリゾート地でのホテル展開やゴルフ場やスキー場などレジャー施設との連携によってインバウンド(外国人観光客)を惹き付けようとしています。

生まれ変わった名門ホテルの真価が問われるのはまさにこれからです。

インバウンド(外国人観光客)が増えていくことに我々観光業は期待しているしむしろ受け入れていくだけのノウハウ、体制を作っていかなくてはいけない!

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