榊原・嶌のグローバルナビ


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第328回 2007年4月21日 放送

今年から大量定年退職が始まる「団塊の世代」をターゲットに、さまざまな業界がそろばんを弾く。その狙いは50兆円とも言われる団塊マネー。中でも"記念特需"を見越した旅行業界は、早くも本格的な商戦に入った。

業界大手のKNT・近畿日本ツーリストでは、団塊・シニア世代に人気の「クルーズ」に注力。しかし、クルーズ旅行は、最近、その認知度は上がったものの高額というイメージが強く敷居が高いのも事実。そこで、近畿日本ツーリストでは、豪華客船を使ってクルーズ旅行説明会を開催し団塊マネーの取り込みを図っている。団塊・シニア世代を惹き付けるツアーのコンセプトは"手が届く豪華旅行"だという。

こうして団塊・シニア市場を開拓するのは、旅行会社の至上命題だが、そのためには価格だけでなくその内容も大切。と言うのも、団塊の世代は"こだわり"の世代だからだ。近畿日本ツーリストでは、海外・国内旅行ともに専門ブランドをスタートさせた。「日本讃歌」と名づけた国内旅行シリーズでは、民俗学者の解説を聞きながら一般公開していない寺院を巡ったり、町家に宿泊できたり等々、他では体験できない特典が付いた「しばし京都人」を発売したところ大好評。こうした一方ならぬ工夫が求められるところが団塊・シニア市場の難しさだ。従来のツアーと違うのは、ホームラン狙いではなくヒットを狙うこと。一つのツアーで1000人集めようとするのではなく、200人が参加するツアーを5本作ること。団塊という塊にではなく「個」にアピールすること。これが団塊・シニア世代向けマーケティングだという。それだけに旅行会社の旅を創る企画力が問われる、と言えそうだ。

また、KNTは、新しい旅行会社像の構築に積極的に取り組んでいる。そのひとつが、次世代型店舗「トラベル・ブティック」の出店だ。昨年、首都圏に2店舗オープン。「コンサルティング・アンド・コミュニケーション」をコンセプトに対面販売を強化し、個室風に仕切られたカウンターでは、じっくりと相談ができる。交通機関のチケットの手配や宿の予約だけにとどまらない、従来の旅行代理店の枠を超えたサービスを提供しようとしているのだ。目指しているのは、『旅のプロデュース業』への変身。更に今後、富裕層をターゲットにしたオーダーメイド型の旅行を扱う新店舗も銀座にオープンさせる予定だ。

インターネット販売でも、既存の宿泊予約サイトのように、単に宿の予約をとるだけにはとどまらない。「提案型のセールス」で差別化を狙っている。 "マニア旅行"専門「ウルトラプロジェクトC」のサイトからは、「ボルネオ島でのジャングル体験5泊7日」や「平成の伊勢参り・9泊10日ウォーキング」など、ユニークな企画が満載。店頭では販売することが難しい商品を積極的に展開している。

これからの旅行会社は、"代理店"から脱却し"旅のプロデュース業"へ変わらなければならない、と考えるKNT・近畿日本ツーリスト。その販売戦略から新しい旅行業のカタチが見えてくる。

日常の食事は記憶に残らないが、誕生日の食事は思い出に残る。旅行にも経験型の要素を取り入れ、物語性をつける。経験にお金を払ってもらえる時代だ

太田社長は気合の入った社長。おっしゃりたいこと、伝えたい思いがたくさんのおありでした。その象徴の一つが、太田社長が企業ロゴに選んだ「KNT!」。発音しない「!」マークにはお客様にたくさんの「!」を届けたいという熱いメッセージが込められているそうです。後日頂戴しましたメールにも、たくさんの『!』マークが書かれていました。

さて今回のお話によく出てきた言葉が団塊の世代。彼らはお金も時間もある、業界で『金時豆』と言われる方々。旅をするには絶好な、またうらやましい限りの方々です。でも中身を見てみると、旅行は家庭内の力関係を浮き彫りにするらしく明らかに女性優位。VTRに写っていた人もほとんど女性。思わず『男性諸君、頑張ってくれ!』と囁きたくなるくらいです。

こんなアンケートがありました。「退職後、何をしたいですか?」。男性の一位は「旅行」に対して、女性はもっと具体的で「海外でのロングステイ」。男性は取り敢えず旅行をして今後どうしたいのか考えたいのに対して、女性は旅行の目的をキチンと考えているようです。また悲しいのが、「誰と旅行したいですか」という問い。男性は圧倒的に『妻と』と答えたのに対して、女性は『友達』。太田社長によると、最近は男性同士の旅行もあると言うことでしたが、まだまだ少数派です。

そこでアドバイス。ついつい仕事を優先し、家庭を顧みず、「俺は仕事をしているから疲れているのだ」とぼやいている男性は要注意。今のうちに妻に優しくしないと、退職後、一緒に旅行に行ってくれませんよ。もう手遅れと言う方は、旅行に一緒に行けるようなお友達を作っておきましょう!

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