榊原・嶌のグローバルナビ


Big name

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第327回 2007年4月14日 放送

大都市の駅前に鳴り響くお馴染みの音楽と活気のある声。大手家電量販店のビックカメラだ。「3割4割当たり前!」のCMフレーズの通り、激安へのこだわりは半端ではない。本部だけでなく各店舗でも競合店の価格を随時リサーチ、一円でも高い場合はすぐに価格を変更する。人気の薄型テレビなどは一日に数回価格が変わることもあるという。

激安価格を実現するには、メーカーからいかに有利な条件で仕入れることが出来るかがモノを言う。そのため家電量販業界では、規模を大きくして販売力を上げる合従連衡が相次いでいる。業界トップのヤマダ電機は過去2年の間に5社をグループ化。ビックカメラも2006年2月にソフマップを子会社化している。

また、ビックカメラは、2007年2月に西日本を中心に展開しているエディオンとの業務提携を発表。株式を3%持ち合うとともに役員を相互に派遣、共同仕入れ商品の開発や物流ネットワークの共用などを計画している。日々激戦が繰り広げられる家電量販業界では、コスト優位を実現し競争力を高める取り組みが常に必要だ。

そんなビックカメラの魅力は安さだけではない。集客のための工夫も怠りない。例えばワンストップショッピングと呼ばれる幅広い品揃え。家電製品にとどまらずスポーツ用品やおもちゃ、寝具からお酒までその種類は70万アイテムに達する。体験・体感サービスにも力を入れていて、ラゾーナ川崎店に作られた「キッチンスタジアム」では、実際に売られている調理家電を使って調理・試食ができる。商品の良さを直接アピールでき、客の側から見ても分かりやすいため、購買の決定も早いと言う。この他、買い物で得たポイントをSuicaで利用できる「ビックカメラSuicaカード」も好調。駅前立地という自らの特徴を生かすサービスだ。

こうした取り組みを重ねているビックカメラだが、集客の一番の基本は接客だと考えている。商品知識に長けた専門相談員を配置、親切丁寧な接客を行って、経営理念である「より豊かな生活を提案する、進化し続けるこだわりの専門店の集合体」を実践している。

家電量販業界では、今後も更なる価格競争と再編の動きが展開されるだろう。「少しでも安いところで買いたい」という消費者の期待にどこまで応えられるか。そして、安さだけではない満足感を提供できるか。ビックカメラの戦いは続く。

価格では負けられないが、今後は安売り競争だけではなく、お客様が商品を買ったときの満足度をいかにあげていくかが重要

ビックカメラに一度でも入ったことがある人ならきっとお分かりのはず。店を出た後「ビック、ビック、ビック、ビックカメラ」の音楽が頭から離れないこと。ここで注意していただきたいのは、会社の名前はビッグ(big)ではなく、濁らずビックだということ。これは創業者の方が旅に出たときに、現地の人とある競争をして勝ったそうで、そのとき現地の人に「貴方はビックだ」と言われ、その言葉が頭に残り会社名になったそうです。お間違えのないように!(bic:俗語で「すごい、大きい」という意味)

そんなビックカメラの先頭に立たれている宮嶋社長は、もともと家電好きな少年で、新卒第一期生として入社された、現場を知り尽くしている生え抜き社長。そんな宮嶋社長を取り巻く環境は大変な激動期です。例えば価格競争。「家電製品は生ものです」とおっしゃっていましたが、その通り、他店より安くする為に同じ日に何度も値引きすることがあります。その上、ポイントカードを使って買い物をする人もいるので、利益はかなり削られてしまいます。

今、家電量販店の利益率はせいぜい3〜5%くらいだそうです。我々消費者にとっては安くなって助かるのですが、中の人は大変。と言いながらも、我が家のDVDレコーダーはポイントを集めて手に入れてしまいました。助かっています。

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