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第303回 2006年10月21日放送 NTTドコモ 中村維夫 社長

とうとうナンバーポータビリティー制度がスタートした。携帯番号を変えずに違う携帯電話会社に乗り換えられるようになり、携帯各社の競争が激しさを増しているのは周知の通り。では、どれだけの利用者が動くのか。様々な予想があるが、「始まってみないとよく分からない」のが現場の本音だ。

かつては「携帯電話会社を換えてみたい」と考える人が多かったが、次第に「メールアドレスを変更しないといけない」「データは移せない」「今まで集めたポイントを継続できない」「変える為には費用が必要」など、プラス面ばかりでないことが分かってきて、利用者がどう動くのか予測しづらくなっているのだ。

では、業界トップのNTTドコモは、ナンバーポータビリティー制度のスタートをどう受け止めているのだろうか。9000万台という巨大な日本の携帯市場で、ドコモのシェアは過半数の55.5%を占める。2位KDDIの28.1%、ソフトバンクの16.3%と比べその差は大きい(06年9月現在)。しかし、そのドコモでも安穏としているわけにはいかない。ドコモの中村社長は「迎え撃つという姿勢ではなく、我々のお客を守りながら、攻める」と力を込めて話されていた。

そして、競争に勝つための大きなポイントと強調されたのがドコモの持つ総合力。具体的には『ネットワーク』『サービス』『料金』を「全てぴかぴかにする」ことが目標だと言う。今は電話以外にも様々なことが出来るようになったケータイだが、本来の機能は電話。電話がかかりやすいというのは基本中の基本だ。

ドコモでは更に基地局を増やしネットワークを一層充実させる計画だという。また、利用者にとって最も気になる料金については、既にナンバーポータビリティー制度のスタート以前から激しい価格競争が始まっていて、「もうかなりの値下げをしてきた」という。しかし、まだまだバトルは繰り広げられそうである。

また、ケータイの『デザイン』『色』『薄さ』『機能』も、とても重要なポイント。「日本人は本当に電話機が好き」と中村社長は話されていたが、日本ほどケータイにこだわり、様々な機能を求め、機種が多様化している国はない。既にそうした状況にもかかわらず、ナンバーポータビリティー制度のスタートをきっかけに、携帯各社の品揃えは益々増えている。

KDDIは8月に12の新機種を投入。9月には王者ドコモも14の新機種を発表した。勿論、その機能は高度化していて、おサイフケータイは当たり前。携帯音楽プレーヤー(HI-SPEED)はダウンロードのスピードをかつての一曲1分程度からおよそ10秒にまで短縮。携帯電話で地デジを見ることが出来るワンセグ対応も増えている。

携帯電話は既に国内で9000万台も普及しており飽和状態にも見えるが、中村社長によれば「2年に一度携帯電話を買い替えるのが一般的」になっているそうなので、その買い替え需要の取り込みが大切になっている。

国内で熾烈な競争を展開しているドコモだが、中村社長が描く携帯電話の理想は世界が舞台。それは「世界中どこででもつながる」携帯だ。世界の携帯市場の契約者数は21億6800万にまで拡大していて、ドコモは、外国携帯電話会社とi-modeサービスで提携を始めている。世界には、様々な規格があり、統一されていないのが現状だが、日本の携帯電話がグローバルスタンダードになれるのか、注目していきたい。

語録 〜印象に残ったひと言〜
  • 迎え撃つのではなく、我々の客を守りながら、攻める
  • ネットワーク・サービス・料金をぴかぴかにする
  • 日本人は本当に電話機が好き
  • 理想は世界どこででもつながるケータイ
亜希のゲスト拝見

NTTドコモが誕生したのは1991年。そして、中村社長が日本電信電話公社からNTTドコモに移られた1998年はNTTドコモが上場した年。中村社長の最初の仕事は上場だったそうです。そう考えると、実は、結構新しい会社です。今では小学生も持っている携帯電話ですが、かつてはバッグのように担ぐもので、持っている人が限られていたのが、嘘のように普及しています。中村社長も「誰もこんなになるとは思わなかった」と驚いていらっしゃいました。

今回NTTドコモさんのショールームを取材し、未来の携帯電話を見に行ってきました。そこで最初に気になったのが『携帯電話』といえばいいのか『ケータイ』といえばいいのか、ということ。業界内では電話以外の機能が次々と付いた今、『ケータイ』と呼ぶのが普通だそうです。中村社長も『ケータイ』とおっしゃっていました。

未来のケータイは、例えば、スケジュール管理どころか秘書のようにスケジュールの変更を教えてくれ、出張用のチケットの変更もケータイで・・と、あの小さな箱の中で色々なことを処理してくれるようになるのです。ますます落としたら大変です!指紋認証などのセキュリティーを強化したケータイも開発しているそうですが、推理小説の新しいトリックに使われることは間違いなさそうですね。