ゲスト一覧

第180回 2004年5月29日放送

森部好樹氏

超低価格メガネチェーン「オンデーズ」が快進撃を続けている。設立から僅か3年足らずで店舗数は既に50店舗近くにもなり、低価格メガネ店の中で最も多い。好調の理由は、何と言ってもメガネ業界の常識を打ち破ったところにある。まず価格設定は5250円、7350円、9450円、11500円の4プライス制で分かりやすい。通常の3分の1から4分の1の低価格だ。さらに新しいデザインが随時店舗に並べられているほか、レンズ入れまで含めて商品の引渡しまで30分もかからないという超スピードぶりだ。

オンデーズを設立した森部好樹社長は、もともとは日本興行銀行の銀行マンだった。興銀時代にはニューヨーク支店と香港支店を経験するなどエリート行員だったが、50歳の時に興銀の取引先だった「ビックカメラ」に出向。さらに系列の「ビックコンタクト」でメガネ・ビジネスを経験した。この時にメガネというのは非常に利幅が大きいことを知ったと言う。

5/29森部社長によれば、メガネは視力を矯正する半商半医(半分は商売、半分は医者)という側面があるため、消費者は「値段が高いモノが良いものだ」と思っているし、業者側も高くても売れるので高いままにしているとのこと。しかし、これは裏を返せば、利幅が大きいということは、その分だけ値段を下げる余地も大きいはずだ。そう考えたことが、超低価格メガネチェーン「オンデーズ」を立ち上げる出発点になった。ちなみにオンデーズでの販売価格は「超低価格」ではなく「適正価格」だと、森部社長は強調した。

オンデーズが成功を収めるまでには、銀行マン時代の経験が予想以上に生きたようだ。オンデーズのメガネ・フレームはコストを下げるために中国で生産されているが、興銀・香港支店勤務の時に習得した中国語を生かして自ら中国に出向き、生産契約に結びつけることができた。意外にも、中国での製造直販は、日本のメガネ業界では初めてのことだったそうだ。森部社長は当時のことを「業界の常識を知らなかったからこそ出来たのかもしれない」と振り返った。現在では提携している中国の3つの工場を競争させることで、高品質で値段の安いものを調達できる仕組みが出来上がっているという。


5/29一方、販売面では回転率を上げることに力を入れている。売上を大きく左右するフレームのデザインは日本人の顔に合うように国内で手がけており、その種類は1か月間に30種類にもおよぶ。しかも1種類当たり100本程度しか作らないという「限定生産」が大きな特徴で、店頭では1か月ごとにデザインが入れ替わるそうだ。そのため消費者にとっては、手頃な値段で気軽に“メガネを着替える”ことができるのだという。

メガネ業界に新風を巻き起こしている森部社長だが、最終的にはメガネ店のコンビニ化を進めると言う。そのためには「オンデーズの店舗数を現在の約50店舗から、5年後には800店舗まで急激に増やしたい」と思い切った考えを示した。

語録 〜印象に残ったひと言〜
  • 異業種から起業する場合、その業界の常識を知らないことが、かえって強みにもなる
  • オンデーズの販売価格は「超低価格」ではなく「適正価格」である
  • 何事も「楽しく思っちゃえ!好奇心をもっちゃえ!」と思えばハッピーになれる
  • 会社には色々な人材が必要だ。優秀な人ばかりが集まると一人一人を生かしきれない
亜希のゲスト拝見
起業家というと若い人というイメージがありますが、森部社長は銀行マンとして27年間、様々な経験をした後に起業して成功している「中高年の憧れの存在」かもしれません。サラリーマン時代の経験がいかに重要なのかを実感するお話をいくつも伺いました。

例えば、ビッグコンタクトに出向した時にメガネ業界の内情を発見できたのは、銀行マンの癖である他社比較をしてみたからだそうです。また香港駐在中に習得した中国語のおかげで、メガネフレームの中国生産の交渉を行うこともできた。オンデーズの店舗を探す場合も、銀行マン時代のかつての取引先と話を進めることが出来たので随分と助かったそうです。無駄な過去はないんですね。

「嘘八百にちなんで、800店舗を目指しています!」と笑ってお話されていた森部社長。「いま、本当に楽しいんですよ」と仕事の充実ぶりが伝わってきました。オリンピックに合わせて、4年に1度参加しているという100キロマラソンはもうすぐですね。自宅から会社までの10キロをマラソンで出社する森部社長・・。

これからも頑張って下さい。そして中高年にエールを送り続けて下さい。