ゲスト一覧

第172回 2004年4月3日放送

大西健丞氏

今週のゲストは、国内最大規模のNGO、ピースウィンズ・ジャパン(以下PWJ)の統括責任者を務める大西健丞さん。PWJは、大西さんがイギリスのブラッドフォード大学で平和学を学んだ後、1996年に設立。現在、イラクやアフガニスタンなど世界各地で人道支援活動を行っている。鈴木宗男議員との対立で一躍有名になったが、実は8年も前からイラクで支援活動を行ってきている。

4/3私達がテレビのニュースなどで目にするイラクは、自衛隊が派遣されているイラク南部のサマワが中心だが、PWJの活動の中心はイラクの北部である。イラク戦争の影響で北部の町や村の多くは、家ばかりでなく病院や学校などの公共施設も軒並み破壊され、町の形を成していない。治安も悪化しており、NGOといえども危険とは絶えず背中合わせ。同じ道は決して通らないなど細心の注意を払いながらの支援活動だという。

4/3 活動の中心は、上水道設備の建設や学校・診療所の修復作業などで、その点では自衛隊の活動と一致している。しかし、現地のニーズを汲み取り、現地のスタッフを雇用して、コストを抑えながら支援活動に取り組んでいる点が自衛隊との大きな違いだと主張する。

イラクで8年間の支援実績をもつ大西さんだが、自衛隊が派遣されたことで一部の武装勢力から強い反発を受け、NGOといえども活動が難しくなりつつあるという。またイラクの現状は復興に向けて着実に歩んでいるというよりも、民族、宗派、利権などが入り交じり、内乱に陥る恐れすらあると指摘する。

世界情勢が混迷を深める中、日本が果たすべき役割は何か?国民の多くが疑問を抱く問いかけに対して大西さんは、「人道支援にあたる人材の育成が急がれる」と力説した。

語録 〜印象に残ったひと言〜
  • 自衛隊の派遣で、NGOといえども現地での活動は危険が増している。
  • 人道支援活動には、語学力や専門知識・技能に加えて、優れた交渉能力が求められる。
  • 日本は現場に人が出ない。現場を支えるシステムが無い。だから個人がリスクを全て負ってしまう。
  • 政府、企業、NGOが一体となって社会を支える仕組みづくりが今後の課題。
亜希のゲスト拝見
人懐っこい笑顔と現場を知っているからこその説得力で、私たちが知らないイラクの現状を詳しく話されました。意外だったのが、人道支援に必要なのは「スピードと効率化」・「専門性を持つ人材の育成」「現場に行くこと」「一次情報の重要性」と企業経営者の方と同じよう事柄を挙げられたこと。NGOの活動と企業の経営、まったく別のようで実は似ている面が多いようです。