横山秀夫サスペンス 陰の季節4「失踪」
警察の警務課を舞台に、定年間近の看守が失踪した事件の関係性に絡む人間模様を描く。
警察の警務課を舞台に、定年間近の看守が失踪した事件の関係性に絡む人間模様を描く。
早朝、本部から呼び出しを受けた二渡真治は、深夜の留置所で被疑者が首を吊り、それを発見した看守・近藤宮男が救急車に乗せた後、消息を絶ったと報告される。それに対する近藤の懲戒免職処分が持ち上がるが、二渡は来月定年退職を控えている近藤が単なる理由で失踪はしないと本部長に捜査を要求、48時間の猶予をもらい真相を解明するため動き出した。収賄容疑を掛けられた港町役場の被疑者は自殺未遂の際、現場に「冤罪」との血文字を残しており、彼の容疑を晴らすため近藤が捜査に乗り出したと二渡は推測。早速、港署刑事課での取り調べや町の贈収賄事件の真意などを調べ始める。が、近藤の妻は刑事になることを夢見て看守を続けた近藤が失踪したのに今回の事件は関係ないと自信を持っていた。最近、やたらと帰りが遅かったという妻の発言から何かを捜査していると考えた二渡は過去に近藤が看守した事件簿を調べ、丁度1年前に起きた山手町主婦殺害事件が未解決のままであると知る。また、彼が最近使用している靴の底についた土から山手町付近などを歩いていたことも判明し、容疑はそろっているのに主婦・エミ子の死体が発見されず釈放された愛人・山野井という男を追っていると二渡は確信した。