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地球バス紀行

毎週火曜22時オンエア

人間の鼓動に出会う旅、一篇の旅物語
旅の案内役は「バス」です。大陸を横断する長距離バスから都市部を毛細血管のほうに走り回る生活導線バス。早足の旅ではけっして見えて来ない車窓の風景が、乗り合わせた人との出会いが、いろいろな物語を紡ぎだしていきます。

2012年11月20日 O.A.

#84 マンダレー発 シャン高原を行く

ミャンマー

地図

今回は、ミャンマーの中央に位置する第二の都市・マンダレーから出発。 行き先を決めていない、ぶらりバス旅です。

マンダレー
あふれかえる車やバイク、気温は40℃近くまで上がるそうです。熱気に押されるようにして裏通りへ入ると、頭にレンガをのせた女性たちと遭遇しました。重くないのか?と、たずねると、手で持つよりも頭にのせた方がたくさん運べるのだと言っていました。ミャンマーの女性たちの逞しさに脱帽! 続いて、彼女たちから教えてもらったオススメの場所・王宮へ。展望台らしき建物を登っていくと、荘厳な王宮を一望! なぜ、マンダレーに王宮があるのでしょうか? 見物客に聞いてみると、イギリスの植民地になるまでここマンダレーがミャンマーの首都だったとのことで、今でもミャンマーの人たちにとって大切な場所なのだそうです。なるほど。さて、そろそろバスに乗って旅をしよう! バス乗り場の場所をたずねると、男たちがシャン高原のタウンジーという町をすすめてくれました。マンダレーに比べて標高が高いため、かなり涼しいようです。しかし、タウンジー行きのバスは夜行バスしかなく、途中のメイッティーラという町までなら今すぐ出発するそうです。今すぐ?あのバス!?って、もう出発してる!!! 走り始めたバスを必死に追いかけ、なんとか乗車に成功!滑り込みセーフ!

メイッティーラ
同じバスに乗り合わせたおばさんがガサゴソと袋から取り出したのは、ロンジー。ミャンマーの伝統的な男性用の衣服で、スカートのような筒状の布を腰のところで結んではきます。記念にバスの中で一枚購入させてもらうことになりました。おばさんが選んでくれたのは、ブルーのチェック柄のロンジー。ありがとう! メイッティーラに到着しました。通りに並んだ一軒の店を覗くと、店ではなく自宅でした。ここに暮らす男性にオススメの場所を聞いてみると、近くに日本人と縁の深い仏塔があるそうで、さっそく行ってみることにしました。この仏塔は第二次世界大戦の時に日本軍が最後の砦として使用していた建物だと関係者が教えてくれました。さらに、当時の戦車も見せてもらい、ミャンマーと日本の歴史的なつながりを感じました。仏塔で出会ったおじさんが次の目的地として薦めてくれたのは、タウンジーの途中にあるカローという町。シャン高原の入口にある町で、避暑地なのだそうです。

カロー
カローへ向かうバスが山道に入った途端、突然の雨! 雨脚はどんどん強くなり、窓の隙間から雨水が漏れて、シートがビショ濡れに!大丈夫か!? でも、しばらくすると雨が止み、バスは無事カローに到着しました。山の天気は変わりやすい。カローは長袖が必要なくらいの涼しさで、とても過ごしやすいところでした。市場を歩いてみると、道の両端には様々な野菜が並んでいます。売り子さんたちの中に、頭にビニール袋をかぶった女の子がいました。傘を忘れたため、ビニール袋で雨を凌いでいたそうです。 そんな彼女のお店に買い物客がやってきました。おまけしなさいとしつこいおばさん。このおばさん、実は市場でニンニクを売る商人で、今度は僕に買っていきなさいとしつこく言い出しました。ニンニクはミャンマー料理に欠かせない食材だそうですが、旅人に料理を作る術はないから買って帰れません。断り続けていると、おばさんがミャンマー料理を作ってくれることになりました。自宅にお邪魔して、ニンニクやトマトや干し魚を煮込んだミャンマー料理をごちそうになりました。白いご飯にたっぷりかけて、いただきます!すごくおいしい! なんだか懐かしい家庭の味でした。

タウンジー
タウンジーはシャン高原最大の都市で、広告の看板が建ち並び、人やバイクがごった返す活気のある町です。歩いていると、派手な衣装を着た人たちが何か大きなものを車に積んでいました。たずねると、シャン族の伝統楽器だといいます。この人たち、シャン族という民族で、30年前に伝統舞踊のチームを結成したそうです。練習を見学させてもらうことになりました。これが素晴らしい!音楽といい、衣装といい、ダンスといい、エネルギッシュ! いい刺激を受けました。

インレー湖
さて、もう一ヶ所くらいバスで旅してみたいなあ。通りがかりの人にオススメの場所を聞くと、タウンジーの近くにミャンマーで二番目に大きいキレイな湖があるのだそうです。そのインレー湖を最後の目的地にすることに決めました。バスで隣に座った女の子に話しかけると、彼女はインレー湖の上に住んでいると話してくれました。湖の底に杭を打って、そこに家を建てて暮らしているのだそうです。さらに、浮島を作ってトマトも栽培していると聞いて、湖の上で農業?と、気になるのでトマト畑を案内してもらうことになりました。舟に乗りかえてインレー湖に出ると、漁師、電線、そしてトマト畑が! トマトの収穫を見せてもらい、さらにトマトサラダをごちそうになりました。家へ行くと、確かに湖の上に建っており、不思議な光景でした。そして、ピーナッツを和えたトマトサラダは絶品でした。都会の喧噪とはかけ離れた静けさが魅力だという湖の暮らし。ミャンマーの豊かな文化に触れる旅となりました。