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地球バス紀行

毎週火曜22時オンエア

人間の鼓動に出会う旅、一篇の旅物語
旅の案内役は「バス」です。大陸を横断する長距離バスから都市部を毛細血管のほうに走り回る生活導線バス。早足の旅ではけっして見えて来ない車窓の風景が、乗り合わせた人との出会いが、いろいろな物語を紡ぎだしていきます。

2012年10月2日 O.A.

#77 ミラノ発 湖水地方巡り

イタリア

地図

今回は、北イタリア、湖水地方を巡る旅に出かけます。大都市ミラノからバスで1時間のショートトリップ。そこには大自然の別天地が待っていました。湖畔を走るバスに揺られ、湖と森に囲まれた暮らしをたずねます。

ミラノ
出発地点はミラノのシンボル、ドゥオーモから。まずは、おすすめの湖がどこか町の人に聞き込み開始です。公園で出会った女子高生3人組は、なんと携帯のインターネット検索を駆使。バスの乗り場を案内してくれました。様々な人のアドバイスのおかげで、美しい森と湖の景色が見られるという、マッジョーレ湖へ行くことが決定しました。

マッジョーレ湖 ストレーザ
ミラノからバスに揺られ、北西へおよそ1時間。マッジョーレ湖のストレーザに到着です。湖畔近くのロープウェイに乗り、山の頂上へ行くと、眼下には森に囲まれた大小様々な湖の姿が。さっきまで都会にいたことを忘れてしまいそうなくらい、雄大で美しい自然の風景が広がっていました。

マッジョーレ湖 ヴェルバーニア
マッジョーレ湖に沿ってさらに北へ。途中下車したヴェルバーニアという町を歩いていると、何やら大きな音が。訪ねてみると、そこは刃物の研ぎ屋でした。ちょうど昼どきということもあり、研ぎ師のファビオさんのはからいで家庭料理を頂くことになりました。自宅にお邪魔すると、続々と息子3人が帰宅。昼食はいつも家族でとるのが習慣なんだそうです。一家にまざり、温かな家族の団らんに触れることができました。食後、カヌーの先生をしている長男ニコロさんの案内で再び湖へ。カヌー教室の生徒に話を聞くと、湖のある生活にとても満足しているのだとか。森と湖に囲まれ自然とともに暮らす人たち。なんとも羨ましい風景がそこにはありました。

オルナヴァッソ
翌日。行くあてもなく適当にバスに乗り込むと、車内はなんとガラガラ。おまけにバスは湖を離れ、深い山の方へ入っていきます。たどり着いたのは、オルナヴァッソという小さな村でした。村を歩いても人の姿がなく、突然雨まで降る始末。雨宿りのため、とっさに建物へ入ると、2人の男性が出迎え入れてくれました。話を聞くと、2人はあのミラノのドゥオーモを手がける親子の修復師なんだそうです。40年以上も修復に携わってきた父と、その父の技を盗もうと努力する子の姿から、伝統を受け継ぐことの厳しさを感じることができました。

オルタ湖 オルタ・サン・ジュリオ
翌朝は、さらに土砂降りの雨。次なる湖水地方のベストポイントを求め最後に向かったのは、オルナヴァッソの南に位置するオルタ湖です。バスに揺られていると、突然、空が明るくなってきました。車窓には、空と森に晴れ渡った抱かれたオルタ湖の姿が。湖畔の停留所から高台へのぼると、湖の真ん中にぽつりと浮かぶ小さな島が現れました。島には修道院があり、修道女がひっそりと暮らしているんだそうです。まるで時が止まったかのような神秘的な湖の風景にしばし心を奪われてしまいました。