地球バス紀行トップへ戻る

地球バス紀行

毎週火曜22時オンエア

人間の鼓動に出会う旅、一篇の旅物語
旅の案内役は「バス」です。大陸を横断する長距離バスから都市部を毛細血管のほうに走り回る生活導線バス。早足の旅ではけっして見えて来ない車窓の風景が、乗り合わせた人との出会いが、いろいろな物語を紡ぎだしていきます。

2012年8月14日 O.A.

#70 ヴェネツィア発ドロミーティ高原を行く

イタリア

地図

今回は、水の都・ヴェネツィアからはじまるイタリア北部の旅。ヴェネツィアから北に進路をとり、イタリアンアルプスがそびえるドロミーティ地方の村々を訪ねます。

マルコ・ポーロ空港
マルコ・ポーロ空港は水の都・ヴェネツィアの旅の玄関口。ヴェネツィアの中心地へ向かうには、途中で船に乗り換えないといけないのだそうです。空港とヴェネツィアを結ぶ往復バスと、ヴェネツィア内を周遊する船がセットになったチケットを購入し、空港を出発します。

ヴェネツィア
バスの終点、ヴェネツィア島のローマ広場で下車。この先は車両の通行が出来ないため、船を使ってヴェネツィアの中心地、サン・マルコ広場へ向かいます。ヴェネツィアは、干潟に大量の杭を打ち込んで街を形成した水上都市。水路がまるで道路のように張り巡らされていて、たくさんの船が行き交っていました。

ロンガローネ
ヴェネツィアからバスに乗り、ドロミーティ地方の入り口の村、ロンガローネに到着。夕刻も迫り、右も左も分からず宿を探していると、親切な村人が近くの民宿をすすめてくれました。ようやく見つけたその宿は小さいけれどアットホームな雰囲気。宿のオーナー夫妻が温かく持て成してくれました。その夜、主に村の悲しい歴史を聞きました。それは半世紀前に村のダムで起きた凄まじい事故の話。村は貯水湖の水に飲み込まれて壊滅してしまったのだそうです。けれど今、村人たちは一度失った村を再び取り戻すべく、力を合わせて明るい未来を築いていました。ロンガローネには明るい笑顔の村人たちが大勢います。その微笑みの奥には、悲しい記憶を乗り越えようとする、故郷を愛する熱い思いがありました。

ヴェナス ディ カドーレ
ヴェナス ディ カドーレは、村人のほとんどがジェラート職人として外国に移民しています。バス停で出会ったガブリエレさんも、長年ジェラート職人としてドイツに移民し、今年の初めに村に戻ってきたひとりです。村に戻ってきた理由は、気持ちがふるさとから離れることができなかったからだそうです。人生を精一杯生き、村に戻ってきたガブリエレさん。今は子どものように無邪気な笑顔で老後の暮らしを楽しんでします。

コルティナダンペッツォ
かつて冬季オリンピックが開催されたこともあるコルティナダンペッツォ。しかし町をよく見ると、店は閉まり人もまばらです。バーに誘ってくれた地元の人に話を聞くと、この町は夏と冬の観光シーズンだけ人が集まり、それ以外は閑散としているのだそうです。高台に登ると、静まり返った町と雄大な山の景色が目の前に広がりました。オフシーズンのコルティナダンペッツォで高原の大パノラマを一人占めしました。

ドッビアーコ湖
バスの車窓から突然見えた湖が気になり、途中下車することにしました。ドッビアーコ湖は、ドロミーティの山から湧き出た水で出来ており、エメラルドグリーンの天然湖です。バス停に戻る途中、養蜂場を持つおじいさんに出会いました。おじいさんは養蜂場に毎日足を運び、家族のためにハチミツを作っているのだそうです。ハチミツの味はモミの風味がするのだとか。おじいさんに頼み、自宅でハチミツを頂く約束をしました。

ドッビアーコ
養蜂場を持つおじいさんを追いかけ、ドロミーティ最北の村、ドッビアーコへやってきました。自宅の庭で念願のハチミツを頂きます。モミの風味のハチミツは、ドロミーティの自然の恵みをそのまま頂いているようで、格別な味がしました。