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地球バス紀行

毎週火曜22時オンエア

人間の鼓動に出会う旅、一篇の旅物語
旅の案内役は「バス」です。大陸を横断する長距離バスから都市部を毛細血管のほうに走り回る生活導線バス。早足の旅ではけっして見えて来ない車窓の風景が、乗り合わせた人との出会いが、いろいろな物語を紡ぎだしていきます。

2012年4月24日 O.A.

#54 キングストン発カリブ沿岸350キロ

ジャマイカ

地図

カリブ海に浮かぶ小さな島国ジャマイカ。鉄道のない島内にはバス路線が編み目のように張り巡らしています。今回は首都キングストンから、風に吹かれて行き当たりばったりの旅にでます。車窓いっぱいに広がる紺碧の海を眺めながら、カリブ海沿岸を疾走します。

キングストンのバス停では、ミニバスが無造作に並び、大勢の車掌が行き先を大声でアナウンスしていました。客の呼び込みに、皆さん必死のようです。すると、いきなり強引な車掌に腕を掴まれ、バスに乗せられてしまいました。乗り合わせた客に尋ねると、このバスの行き先はポートアントニオという所だそうです。とても素敵な所だと言うので、そこへ行ってみることにしました。山道を軽快に走るバス。ところが突然バスから煙が立ちのぼり全員が非難する騒ぎに遭遇します。なんと、タイヤが燃えているではありませんか。しかも火消しに使ったのは、冷えたビール!「バスもビールが飲みたかったんだろ」と乗客たちは呑気に笑っていました。なんとか到着したポートアントニオは、青い海が眼前に広がる風光明媚な町でした。バスで出会ったジュニアさんという男性の家に招かれると、そこはなんとツリーハウス。カリブ海を臨む木の上で夕食をごちそうになりました。

翌日からは、島の海岸線を走るバスに乗り、カリブ海の景色を楽しむことにしました。ポートアントニオからオーチョリオス行きのバスに乗車します。偶然バスに乗り合わせた客がプロの歌手で車内で生歌を披露してくれました。

オーチョリオスからさらに海岸線を西へ。ジャマイカ第二の都市、モンテゴベイまで走ります。乗車したのはジャマイカでは珍しい大型バスで、ペットボトルの水までついてくるサービスの良さ。快適なバス旅ができました。モンテゴベイでは、ミュージシャンと知り合い、ジャマイカ人の元気の秘密を教えてもらいました。

モンテゴベイのビーチで出会った観光客から、ネグリルの夕日が一番で良かったと聞き、ネグリル行きのバスに乗車しました。運転手は、運転手歴32年のベテラン、マグナムさん。他人から借りたバスを長年運転していて、いつか自分のバスを持つことが夢だと話してくれました。最後にたどり着いたのは、ジャマイカの西の果てネグリル。カリブ海を真っ赤に染める夕日を眺めてバス旅を終えました。