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地球バス紀行

毎週火曜22時オンエア

人間の鼓動に出会う旅、一篇の旅物語
旅の案内役は「バス」です。大陸を横断する長距離バスから都市部を毛細血管のほうに走り回る生活導線バス。早足の旅ではけっして見えて来ない車窓の風景が、乗り合わせた人との出会いが、いろいろな物語を紡ぎだしていきます。

2012年2月21日 O.A.

#45 東欧の原風景 マラムレシュ

ルーマニア

地図

ルーマニア西部の都市オラデアを始点に、同国北部の素敵な田舎へ。古き良き東欧の暮らしが今も残っているマラムレシュ地方を巡る旅です。
最初に途中下車したのは、マラムレシュ観光の拠点シゲトゥ。ウクライナとの国境が近いシゲトゥは、古くから交通の要衝として栄えた町です。ルーマニアは農業大国というだけあって、この町の市場にも、たくさんの野菜や果物が溢れていました。市場をひやかしていると、熱心に買い物する一人の女性に出会いました。名前はエリナ。とっても気さくな人です。なんでも、隣の村から食料の調達にやってきたのだと言います。そこで、彼女の村を訪ねることになりました。
エリナさんの暮らすサプンツァ村では、彫刻家のご主人が出迎えてくれました。ご主人は、村に代々伝わる「陽気なお墓」の職人さんでした。「陽気なお墓」とは、残された人々の悲しみが少しでも癒えるようにと、生前の仕事や暮らしぶりをユーモア溢れる詩と彫刻で表現した木造の墓標です。色鮮やかな墓標がならぶ、世界でも珍しいお墓の風景をみることができました。
ボディザという村では、代々のしきたりを受け継ぐ伝統の結婚式に立ち会いました。民族衣装の村人たちが集まり、伝統音楽を奏でて、新郎新婦を祝福します。まるで、中世の田舎に迷いこんだような情景でした。
旅の最後に、世界遺産の木造建築教会スルデシュティを訪れます。荘厳な雰囲気の中、大勢の人々が礼拝をしていました。
ルーマニア・マラムレシュ地方、そこには土地に根を張り、伝統を大切に生きる人々の素朴で力強い姿がありました。