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地球バス紀行

毎週木曜21時オンエア

人間の鼓動に出会う旅、一篇の旅物語
旅の案内役は「バス」です。大陸を横断する長距離バスから都市部を毛細血管のほうに走り回る生活導線バス。早足の旅ではけっして見えて来ない車窓の風景が、乗り合わせた人との出会いが、いろいろな物語を紡ぎだしていきます。

2016年6月30日 O.A.

#260 ガウディが愛した町 バルセロナ

スペイン
地図

今回の旅の舞台は、スペイン第二の都市、バルセロナ。独自の言語や文化を持つカタルーニャの人々が暮らすこの町には、世界遺産にも登録されているアントニ・ガウディの建築物がいたるところにあり、観光の目玉。観光客向けの便利な2階建てバスに乗車し、ガウディの作品を見て回ります。
さらに、地中海に面した町ならではのシーフード料理や、夏になれば行列をなす人気のドリンンク店、話題沸騰中の…?おもしろ博物館にも立ち寄るなど、バルセロナの旅を満喫します。

サグラダ・ファミリア

市内を走る観光用の2階建てバスで、ガウディの建築物が集中しているグリーンルートへ。地中海を眺めながら進むと、やがてガウディの未完の傑作、サグラダ・ファミリアが見えてきます。1883年から亡くなるまでの43年間、その建設に心血を注いだガウディ。でも、生前に完成させたのは、ほんの一部。ほとんどが、後の建築家がガウディの構想を推測しながら建築を進めていったものです。高くそびえる鐘楼も、大聖堂の中も、まさに圧巻の一言。太陽の光が降り注ぎ、ステンドグラスを通して差し込む七色の光は、とても幻想的でした。

人間の塔

サグラダ・ファミリアの前の広場に多勢の人だかりが。その中心では、まるで組み体操のように、人間が人間の肩に乗り、何段にも高く積み上がっていきます。実はこれ、カタルーニャ地方伝統の「人間の塔」。植物の成長を模して塔を作り、豊作を願ったと伝えられています。あどけない5歳の女の子が、塔のてっぺんに到達した時の凛とした姿が印象的でした。

グエル公園

サグラダ・ファミリアを後に、再び観光バスに乗車しグエル公園へ。実業家の依頼によって建設されたグエル公園。当初、分譲住宅を売り出す宅地開発計画でしたが、結局2戸しか売れず、その後公園にしたのだそうです。独創的なデザインの波打つ破砕タイルのベンチは、座り心地も抜群。見た目の美しさだけでなく、実用性にも優れていることに驚かされました。ベンチを直していた修復師は「私たちはガウディやグエルと同じように、この公園を制作している一員なの」と誇らしげに語ってくれました。

オルチャータ

町角で、大行列をなすお店を発見。聞けば、夏の定番「オルチャータ」というドリンクの人気店だそうです。物は試しと飲んでみると、独特の味わい。植物の香りというか、土の香りというか、でもほんのりとした甘みでさっぱりとした味。植物の地下茎で作られ、ビタミンCが豊富で体に良いんだそうですよ。

理美容博物館

自らが経営する理髪店の中に“ガウディに関係しているもの”があるというので、行ってみる事に。すると、大きなガラスケースに展示されていたのは、なんとサグラダ・ファミリア!実は、7000メートルもの人毛や動物の毛で作られた世界一の“カツラ”というから驚き!この理髪店に併設されていたのは、理美容に関する品々を展示した理美容博物館。年代物のゼンマイ式ドライヤーや電気式ドライヤーなど、今となっては貴重な古道具がいっぱい。昔の暮らしや社会が透けて見えてくるようで、とても興味深い博物館でした。

地中海の恵み・シーフード料理

地中海に面したバルセロナは、シーフード料理が名物。飛び入りで受講した、観光客向けの料理教室では、魚介をふんだんに使ったパエリヤに舌鼓。さらに、夜の町に繰り出し立ち寄ったシーフード専門のバルでは、タコ料理や小アジのフライ、マテ貝の鉄板焼きなど絶品料理の数々を堪能。ビールが止まりませんでした。

カサ・ミラ

誰もが薦めるガウディの作品、カサ・ミラ。観光バスの停留所もすぐそばにあって、アクセスも便利。曲線の外壁がユニークなカサ・ミラは、ガウディが最後に手がけた民間住宅で、現在もなお4世帯が住んでいるんだそうです。一般公開されている屋上に出てみると、まるで兜を付けた騎士が整列しているような立体作品があちこちに…。学芸員の方に聞いてみると、実は煙突なんだそうです。芸術作品として展示しているだけ、というのは大きな間違い。ガウディの作品には、必ず機能的な意味を持ち併せているんだそうです。ちなみにこの煙突、鳥を寄せ付けない“かかし”としての役割もあるんだそうですよ。