「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#328 美しきアルプスの水鏡 バッハアルプゼー(スイス) 2016/11/25 O.A.

世界遺産の首都 ベルン

旅の起点は緑豊かなスイスの首都、ベルンからです。ベルンにはヒグマが飼育される熊公園があったり、世界遺産の旧市街では中世の時代に作られたからくり時計や教会が残っていたりと見どころがたくさん。古い建物の保存状態がよいのはスイスが永世中立国で、平和であることを国民が望み、町が争いから守られてきたおかげなのだそうです。そんな中世の町の眺望を求めにケーブルカーに乗ってグルテン山に登ることにしました。山頂の展望台からは緑と赤い屋根に映えた美しい町と、町の向こうにうっすらとアルプス山脈の姿が見られました。ここで「美しいアルプスを見たいならばバッハルプゼーが必見だよ」と展望台の人に薦められました。なんでもアルプスの名峰に囲まれた美しい湖なのだそうです。今回はアルプス山脈の絶景を求めにバッハアルプゼーを目指すことにしました。そしてちょうどこの日はスイスの建国記念日で夜に盛大に祝うと聞き、このままベルンで1泊することに。スイスの人々は手作りのちょうちん行列を持って町を練り歩き、美しい打ち上げ花火で盛大に平和を祝いました。

アルプスの名峰を望むフィルスト

翌日は鉄道に乗ってアルプス観光の玄関口、グリンデルワルトへ。なんとここには日本語専門の観光案内所があるのです。バッハアルプゼーは晴れの日に逆さアルプスを楽しめる湖だと知り期待に胸躍ります。だけど今日はあいにくの曇り空。バッハアルプゼーは明日にして、フォンデュ専門店に立ち寄り、コンソメスープに牛、豚、七面鳥の肉というフォンデュ・シノワーズを堪能しました。翌朝ゴンドラに乗って山の上のフィルストへ向かいます。すでにフィルストからはアイガー、ユングフラウ、シュレックホルンという名だたるアルプスが雄大な姿を見せています。名残惜しくも今回の目的、逆さアルプスに向かって出発しましたが、50分のハイキングの先に待っていたのは曇り空が映り込んだバッハアルプゼー。しかも風の仕業で湖面が揺れ、雲さえも消えてしまいました。湖面にきれいに逆さアルプスが見えるのは風のない早朝なんだとか。そこでフィルストでもう宿泊して、翌朝に再挑戦することにしました。

アルプスの水鏡 バッハアルプゼー

翌朝5時。バッハアルプゼーの逆さアルプスを見るため、夜明け前にフィルストを出発です。湖の前では薄闇の中、すでに日の出とアルプスの絶景を待つ人たちが集まっていました。午前7時、空が青みがかり、山の向こうから太陽が姿を出しました。そしてバッハアルプゼーの水面に、4000メートル級の山々がはっきりと映し出されました。天と地で向き合う白銀のアルプス。せせらぎの音が聞こえる静かなひととき。やがて風が立ち、逆さアルプスは姿を消しました。ほんのひと時だけの水の魔法。夢のような、うたかたの絶景でした。