「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#272 モノトーンの美しき町 フロイデンベルク(ドイツ) 2015/9/4 O.A.

旅の始まりはドイツの古都ケルン

ケルン中央駅前を出るとすぐ目の前に現れるのは世界遺産「ケルン大聖堂」。1248年に建設を開始、1880年に完成。632年の歳月をかけて完成した教会です。高さ157m、世界最大を誇るゴシック建築のスケールに圧倒されます。教会内の大ステンドグラスは色彩豊かでまさに絵画のようでした。そして中央塔から望むのはケルンの大パノラマ。
修復士として大聖堂に関わるシュペルナーさんは「古きよき物を守るのはドイツ人の誇り」だと言います。立ち寄ったカフェで出会った旅人から、美しい木組みの家々が並ぶ町があると聞き、次の日からさっそく向かうことに決めました。

カラフルな木組みの家の町

ケルンから列車で2時間、「イトシュタイン」へやってきました。青や赤、そしてピンク。ずらりと並ぶカラフルな家々。贅沢な色使いと装飾が施されたこの町は絵本の世界のようです。
なぜこのカラフルな町が生まれたのか、そこには13世紀に城下町として栄えたことが由来しているんだそうです。住民は富の象徴として自分の家を彩ることにお金をつぎ込んだのです。中には似顔絵や結婚証明書を飾った人も。中世の住民が木組みの家に込めた強い思いがそこにありました。

モノトーンの美しき町

旅の最終地は白黒の木組の家が並ぶ町「フロイデンベルク」。この町はすべての家が黒い柱、白い漆喰の壁でつくられています。色を無くしたこの町に足を踏み入れると、とても不思議な感覚に。でもなぜ白黒の家しかないのか?そこには悲しい歴史がありました。400年前、二度の大火によってこの町は焼失してしまったのです。住民たちは焼け残った柱を拾い集め、質素な白いペンキで壁を塗り、自分たちの家を蘇らせたのです。その家々が、今日まで文化財として守り続けられて来たのです。町の保護技師ラルフさんは「この風景は私たちの暮らしそのもの」だと言います。ラルフさんと小高い丘へ。眼下には一面白黒の家々が織りなす町並みが広がります。そして、ここから見る最も美しい瞬間は夜明け前。白黒の町が暗闇から浮かび上がり真のモノトーンの風景に変わるのです。そこはまさにモノクロフィルムの中に入り込んでしまったかのような世界でした。