「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#206 ツルが舞う谷ポプジカ(ブータン) 2014/5/2 O.A.

天空のヒマラヤ

今回の旅はブータン王国。ヒマラヤの険しい山々に囲まれたパロ国際空港に到着。小さな空港ですが、滑走路に降りるとなんて涼しい風…。空港の玄関でガイドのデキさんと待ちあわせ。ブータンでは旅行者は必ず事前にコースを申請しガイドをつけて、専用の車で回る決まりがあります。今回は、ブータンの古都プナカを経て、大自然にあふれるポブジカを目指すコース。デコボコ道をプナカに向かいます。しかし途中、いきなりのトラブル。山の上で交通渋滞が発生したのです。が…、ガイドのデキさんから「崖崩れでしばらくは動かないのでここから歩いて、ドチュラ峠の絶景を見て来ては…」と言われ、車を降りて展望台へ。目の前に広がったのは…、すごい!大パノラマ。ヒマラヤ山脈です。峠には寺院もあり、瞑想する場所にもなっています。標高6000メートル級の白銀の山々に囲まれたドチュ・ラ峠の絶景を堪能し、古都プナカへ。

ライステラスの里

古都プナカでは象徴ともいうべき、プナカゾン(僧院)を見学。ブータンで最も美しい寺院をゆっくり歩いた後。メインストリートへ。でも100m四方の一角に、お店は何軒か並んでいるだけ…。ガイドさんによると、プナカの街から車で20分ほど行ったところに「ロベサ村」という棚田に囲まれた美しい村があるとか。まるで昔の日本に迷いこんだような郷愁あふれる村で、最近は外国人観光客に大人気だそうです。たしかに棚田を歩いていると、のどかな風景だけでなく、虫の声、川の音、牛、鳥、そして子供たちの声が妙に懐かしい。このノスタルジックな村で、出会ったのは、多くの子供たちの笑顔と、家を建てる時にみんながチカラをあわせ、協力し合う姿。特に女性たち10人くらいが歌を歌いながら作業する姿が印象的で、棚田に落ちる夕陽の絶景に溶け込んでいました。

ツルが舞う谷

翌朝、ロベサ村を出発。車で3時間かけてポブジカへ。ポブジカは大自然にあふれた秘境で渡り鳥オグロヅルの越冬地としても有名。ブータンではツルは「天国の鳥」と呼ばれ、特別な動物として保護されています。ポブジカの村もツルを守るため、保護区には家を建てず、近づかないようにしています。電柱も一本もありません。鶴を守るためには多少の不便は人間が我慢すべきだと考えているのです。野生のツルはこの村にとって、かけがえのない本当に大切なものなんですね…。ツルの研究センターもあり、長年ツルを観察して来た職員のジグミさんに、保護区の中へ案内してもらいました。今年は422羽のオグロヅルがチベットから渡ってきたそうです。昼間はエサを求めて活動していたツルたちが夕方、谷の中央に集まってきます。寝るときはみんなで一緒に眠るのだそう。フワフワと風に乗り、舞い降りるツルたち。吹雪のなかを家路に急ぐその姿は、天国の鳥と呼ばれる通り、ただの動物ではない、なにか神々しささえ覚えるほどでした。そして翌朝、ポブジカの谷に朝日がのぼります。真っ赤に染まった朝日の中、飛び立つ422羽のツルたち。標高2200m。ポブジカの谷の一日が始まります。