「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#161 光の草原マサイマラ(ケニア) 2013/6/14 O.A.

屈指の大都市ナイロビ

今回の旅の舞台は、東アフリカのケニア。まずはその首都ナイロビに降り立ちます。夜明け前に空港に着くと、私を迎えてくれたのはサバンナから昇る美しい朝日でした。しかし朝日に見とれている間に街はすっかり朝のラッシュアワー。ナイロビはアフリカでも屈指の大都市。街はスーツを着たビジネスマンで溢れ、道路には路上駐車が列を作ります。まるで東京のような都会ぶりについついここがアフリカだということを忘れてしまいます。しかし街が見渡せる展望台に上がると、ビル群の向こうにどこまでも続く大サバンナが広がっていました。一見大都会のナイロビですが、実は自然と隣り合わせの街なんですね。ということで、郊外へ動物を見に行きます。都会のサバンナでは、愛くるしいキリンの姿やシマウマの群れと出会いました。そして世界中どこを探してもナイロビにしかないという絶景と出会いました。それは、広大なサバンナと草を食む野生動物たち、そして背後に佇む摩天楼との不思議なコラージュでした。

地球のパワー、大地溝帯とボゴリア湖

翌朝、ガイドに連れられ向かったのは、大地溝帯。それはなんとアフリカ大陸を南北に切り裂く巨大な谷だそうです。あまりに雄大な景色に一見それとは分かりませんが、この谷は地球のパワーが作り出したものだと言います。さらにそのパワーを感じるため、大地溝帯の影響でできたというボゴリア湖へ。ここはフラミンゴの生息地としても有名で、青い湖の岸辺には何万羽というフラミンゴが羽を休めていました。驚いたのはその飛び方です。羽をばたつかせたかと思うと、ものすごい勢いで水面を駆け出し、まるで飛行機が離陸するかのように飛び立つのです。さらに湖岸を歩いていると、湯気が立ちのぼる場所を見つけました。なんとこれは地中から湧き出る温泉。地球のパワーとはこの温泉のことでした。激しく沸き立つ温泉と雨が混ざりできたボゴリア湖。フラミンゴがこの湖に来る理由は、アルカリ性の温泉が作り出す豊富なエサでした。大いなる地球の鼓動が、美しいフラミンゴの生命を育んでいるんですね。

動物の楽園マサイマラ

旅の最後に訪れたのはケニア最大の動物の楽園、マサイマラ国立保護区です。大阪府とほぼ同じ面積の広大な草原には、ナイロビではなかなか見られないような肉食動物や大型動物まで、種類、数ともにケニア随一です。巨大なサファリカーに乗って草原を疾走しているとわざわざ探さなくても、キリンやガゼル、ヌーにシマウマたちが姿を現します。その時、急に無線が鳴り始めました。「こっちにライオンがいるぞ!」急いで向かうと、なんと10頭はいるライオンの群れと出会いました。木陰の下でのんびりお昼寝タイムのようです。百獣の王と言っても、この時ばかりは穏やかな表情を見せています。その内の1匹、メスのライオンが急に立ち上がりその場を去ったので、ついて行くことに。すると茂みの中に入って行きました。こっそりと中を覗くと、なんとそこには赤ちゃんが4匹いました。まだ生後半月の小さな王様たちは、互いにじゃれ合い無邪気に遊んでいるようです。人間でも動物でも、やっぱり家族は一番ですね。そして夕方、マサイマラの空から何本もの光の筋が降り注ぎ始めました。雲間から漏れる太陽の光がまるでカーテンのように辺りを覆っていきます。現地の人は、これを「神の指」と表現するそうです。まさにここは神が作り出した、野生のパラダイス。ここに生きとし生けるものの魂の雄叫びが聞こえてくるような気がしました。