「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#156 アルプス 天空のテラスへ(フランス) 2013/5/10 O.A.

アルプスのオアシス アヌシー湖

旅の起点はローヌ=アルプ地方の中心地、リヨン。町の観光案内所に行くと、雪のモンブランがおすすめ、という情報を得て早速鉄道に乗り込むことにしました。目指すはモンブランの麓の町、シャモニーです。車内で幼い子どもを連れた女性と話をしていると、これから出張中の夫に会うためアヌシーという町に行くとのこと。アヌシーには美しい湖があると聞き、急きょ途中下車を決めました。アヌシーは古い町並みと清らかな運河が流れており「アルプスのベネツィア」呼ばれているそうです。運河沿いを歩いていると、広大なアヌシー湖に到着しました。湖は真っ白な雪を頂いたアルプス山脈に囲まれ、水は透き通るような美しさです。実はこの湖、かつては汚染されていた時代があり、周辺の住民たちの努力で浄化作戦を行ったそうです。今ではヨーロッパ有数の透明度を誇るんだとか。アルプスの雪解け水が潤すこの土地に、水の都を作って暮らしてきた人々。自然と人が寄り添うことで生まれた美しい風景は、眺める人の心も美しくしてくれるような気がしました。

フランス最大の氷河 メール・ド・グラス

鉄道に乗ってモンブランの麓町、シャモニーにやってきました。天気は快晴、しかし肝心のモンブランだけが雲に覆われて見えません。仕方なく町を歩いていると、団体客が近くにメール・ド・グラス氷河があると教えてくれました。登山鉄道で山の急勾配を登ることおよそ20分。眼下に大きな氷の谷が現れました。ここでレスキュー隊をしているというフィリップさんに話を聞くと、氷河はなんと15万年前からあり、フランス最大の規模なんだそうです。フィリップさんが仕事の合間をぬって、氷の近くまで案内してくれることになりました。谷底を目指しロープウエーに乗りますが、終点に着くと、さらに長い階段が待っていました。氷河はもっと下のようです。実は温暖化の影響で、この25年の間に氷河がおよそ70メートルも解けてしまったため、後で階段をつぎ足したんだそうです。階段を降りると、雪の隙間から青い氷塊が見えました。長い歳月をかけて固まった氷が、急激に解けている今。もしかすると、ここに見えているのは太古に固まった氷なのかもしれません。アルプスの氷河で太古の地球を感じました。

ヨーロッパアルプスの最高峰 モンブラン

氷河で知り合ったフィリップさんの紹介で、モンブランに詳しいというジャンミッシェルさんの家へ伺うことになりました。自宅のテラスからは雄大なアルプス山脈が。ジャンミッシェルさんが、目の前にあるエギュイ・ド・ミディという山の頂上からモンブランを見よう、と誘ってくれました。しかし翌日、シャモニーの町から山頂を見上げると曇がかかっています。果たしてモンブランは見られるのか…。不安を抱えながらエギュイ・ド・ミディのロープウエーに乗り込みます。頂上の標高はなんと3842メートル。富士山をゆうに超えました。山頂のテラスへ出ると、天気は晴れ渡り、ヨーロッパの屋根といわれるアルプスの絶景が現れました。そして、その中でひときわ大きな山モンブランの堂々とした姿が!「白い王様だね!」とジャンミッシェルさん。ヨーロッパアルプス最高峰のモンブランは、太陽の光を浴びて、まさに王のごとく君臨していました。