「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#117 赤い大砂丘ナミブ(ナミビア) 2012/8/3 O.A.

ヒンバの聖地 エプパの滝

アフリカ南部、ナミビア。首都のヴィントフックは、小さな街ですが、近代的なビルとドイツ占領下時代に建てられたヨーロッパ調の建築物が入り交じった美しい街。通りにはゴミ1つ無く、公園の芝生もきれいに整えられています。何でも、ここはアフリカ一美しい街なんだそうです。その一方、高層ビルが立ち並ぶ通りでは、何やら独特な衣装の女性がお土産を売っています。真っ赤に塗られた肌と土のようなもので固められた独特のヘアスタイルの彼女たちは、ヒンバ族というナミビアの先住民族。遥か北にあるカオコランドという所で、今でも原始的な生活を続けているそうです。
首都を一歩出ると、ナミビアのダイナミックな自然の風景が現れます。シマウマやキリン、それに見たことも無いような美しい鳥たちを眺めていると、ロングドライブも苦じゃありません。カオコランドに着くと、早速ヒンバの村へ。このエリアにはヒンバ族の村が点在し、放牧をしながら生活をしているそうです。そこで出会ったのは、伝統のお化粧「オカ」という赤い粉を体中に塗った女性たち。オカには体を清潔に保つ効果もあるそうです。というのも、ヒンバ族にとって水はとても貴重なため、水浴びをしないそうです。オカを塗るのは自然を利用した生活の知恵でもあったんですね。wさらにヒンバの村から車で1時間半、エプパの滝へやってきました。ここはヒンバ族の聖地とも言われ、滝の水を飲むと身も心も清められるそうです。やがて夕方になると、滔々と流れ落ちる滝が夕日を受けてきらきらと輝き始めました。乾いた大地を潤す命の水が、心まで潤してくれました。

赤い大砂丘ナミブ砂漠

カオコランドを出発して海岸線を南下します。次に目指すのはアフリカ屈指の大自然、ナミブ砂漠です。赤い砂丘とも呼ばれ、真っ赤な大地が永遠と続きます。まず私が向かったのは日の出とともに出発するバルーンツアー。熱気球でナミブ砂漠を空から眺めます。朝日に照らされた真っ赤な砂丘と真っ青な広い空。その真ん中を風に乗って漂っていると、まるで鳥にでもなったような気分でした。次は車に乗り換えて、ナミブ砂漠の深淵へと入っていきます。やってきたのはデューン45というナミブ砂漠の中でも一番美しいという砂丘。高さ150mの大砂丘の頂上を歩いて目指します。柔らかい砂は、踏みしめるたびに私の足を取り、風に舞う砂は生き物のように私を包みます。歩けども歩けども、なかなか前に進めません。でも歩き始めて1時間、なんとか頂上に着くと、赤い砂丘は夕日に照らされ金色へと姿を変えていったのです。光と陰のコントラスト。小さな砂一粒一粒が生み出した目を奪うような大絶景でした。

絵画のような世界デッドフレイ

翌朝、まだ暗いうちに向かったのは、ナミブ砂漠の隠れた絶景ポイント。日の出前の一瞬にしか現れない絵画のような不思議な風景だそうです。やってきたのはデッドフレイ。元々、池だったその跡地に立ち枯れた木だけが残る一風変わった場所です。その場で待つこと30分。目の前の砂丘だけに朝日が当たると、その絵画は完成しました。金色に染まる砂と陰ったままの銀色の大地。その背景に枯れ木のシルエットがくっきりと浮かび上がりました。光と陰が作り出す大自然のアート。背後の砂丘から朝日が昇りきると、もう、その風景は消えてしまいました。