#28 「ダンシング・クイーン」ABBA

出演者

  • メリル・ストリープ
  • ルネ・セデルクヴィスト(ABBAのロゴデザイナー)
  • ジャン・マリー・ポーティエ(音楽評論家)
  • マーティン・コッシュ(「マンマ・ミーヤ」音楽スーパーバイザー)
  • ロジャー・パーム(ドラマー)

放送内容

言わずと知れた20世紀世界最高のポップ・グループ「ABBA」。1974年から1982年までの実働期間約8年間でシングル・アルバム合わせ2億5千万枚以上のセールスをあげるという、信じられないような記録を残した、まさに世界中を席巻したスウェーデンのスーパー・ポップ・グループ。今回はこの中でも、1977年春に初の全米NO、1に輝いた「ダンシング・クイーン」を中心に、数々のヒット曲、ドキュメント映像も大公開。日本でもまもなく公開される映画「マンマ・ミーア」に先駆け、先行OA!時代を超えて愛され続ける「ABBA」の魅力に迫ります!!ゲストは、メリル・ストリープ。

ディレクターによる取材ウラ話

アバ。ABBA。僕にとっては正直、これまであまり真面目に聴いたことがなかった、エアポケットのような存在でした。
彼らの全盛期には、僕は中高生。何より映画を見ることが最優先だった頃で、たまに音楽を聴いてもZELDAとかヴェルヴェット・アンダーグラウンド。アバは、ちょっと遠いところで流れていた音楽でした。
だから今回、「ダンシング・クイーン」を初めて本気で聴いてみて、そのあまりに強力なグルーヴ感にちょっとびっくりしてしまったのです。ピアノのグリッサンドに続いてリズムが飛び出した瞬間、まさに問答無用で、聴く者の気分は高揚。ヒップホップ以前のフィジカルなノリが、実に心地よく、新鮮でした。
いわゆる「裏のリズム」の心地よさ。それが、ドラマーが当時ドクター・ジョンの『ガンボ』にハマっていたために生まれた、と聞いた時には、まさに目からウロコでした。愛するニューオリンズのリズムが入っているのだから、それはノリが良くて当然、と大いに納得したことが、個人的に最も印象深いポイントです。
「仕事を通して彼らの音作りを詳しく研究したことで、 彼らへの評価は以前とは一変した」と、ミュージカル『マンマ・ミーア』の音楽スーパーバイザーは語っていました。本当によくわかる話です。真面目に聴いてみると、これが実に深かった。人生是勉強。
で。
今回最大のお宝アイテム。それが、1978年にアバが「ザ・ベストテン」に出演した時のVTRです。プロモーションヴィデオで見る姿とは違い、間近でまっすぐにとらえられた彼女たちの映像。等身大の魅力と楽曲の楽しさがストレートに感じられて、ちょっと感動、です。かてて加えて、音声は当時の世界標準で「口パク」のようなのですが、その音が!モノラル・ミックスの「ダンシング・クイーン」です。レアです。ヘッドフォンで聴いてみると、低いリズム体を中心に音が塊のようになってグイグイ押し出してきます。ラジオでのエアプレイで映えるように作ってあるのでしょうか。BACK TO MONO 。いいです。かなり感動、しました。
そんなこんなで、破壊力抜群のノリに長時間晒された結果、番組が出来上がる頃には スタッフは誰しも「ダンシング・クイーン」を自然に口ずさむようになりました。ウィルスのように脳を蝕むその感染力。駅の階段で。信号待ちで。エレベーターの中で…。本当に危険な楽曲と、気づいた時にはもう遅い。軽く見ていると痛い目に遭います。電車の中で、この曲を我知らず口ずさんでいる輩を見かけたら、それは「SONG TO SOUL」のスタッフでしょう。温かい目で見てあげてくださいませ。


PLAY LIST