#1 2017年11月13日(日)放送

海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群 ~御食国(みけつくに)若狭と鯖街道~

16世紀、生きた象を日本の国王への贈答品として運んできた外国の一団があった。上陸地は現在の福井県小浜市の海岸。いったいなぜ、そこから上陸したのでしょうか?
そこは古来、直線距離で京都からわずか数十kmにあり、京都から最短で日本海に出られる場所でした。若狭からは鯖やぐじなどの豊富な魚介類などが京に届けられ、その運搬の道は“鯖街道”とも呼ばれます。反対に都(みやこ)からは中央の様々な文化・風習が伝わりました。
若狭地方だけに残る、都(みやこ)の文化の痕跡をたどります。

鯨とともに生きる

鯨は日本人にとって信仰の対象となる特別な存在でした。
人々は,大海原を悠然と泳ぐ巨体を畏れたものの、時折浜辺に打ち上げられた鯨を食料や道具の素材などに利用していたが、やがて生活を安定させるため、捕鯨に乗り出しました。
熊野灘沿岸地域では、江戸時代に入り捕鯨の技術や流通方法を確立し、これ以降、この地域は鯨に感謝しつつ捕鯨とともに生きてきました。当時の捕鯨の面影を残す旧跡が町中や周辺に点在し、鯨にまつわる祭りや伝統芸能、食文化が今も受け継がれています。