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3月 メキシコ/ベラクルス
  • 3月5日放送

    メキシコ湾に面して広がる町、ベラクルス。年間の平均気温が25℃を超えるという温暖な気候で、週末のビーチはいつも人で賑わっています。そんな港町ベラクルスは、魚介類が豊富でシーフード料理が名物です。海岸沿いにはレストランが立ち並び、遠くから新鮮な海の幸を求め食べに来る人もいます。

    また、コーヒーの産地としても有名で、205年続く老舗コーヒ-店では、少量のコーヒーが入ったグラスが運ばれた後、店員がやかんで温かいミルクを注ぐ、カフェオレのような飲み物が名物です。

    そしてもう一つ、この街に根付いているのが、週末になると広場で行われる「ダンソン」。生バンドの美しい響きに酔いしれるように、ゆったりとしたステップを踏みながら、男女が寄り添って踊ります。この地の正装とされる白い衣装に身を包み、女性は扇子を持って優雅に踊るのが特徴。

    「ダンソン」は、キューバから入ってきた踊りで、チャチャやマンボの前身と言われています。その起源は、ヨーロッパ大陸と言われ、そこにキューバのリズムが加わり、19世紀後半にメキシコへ伝わったそう。この古き良き時代の雰囲気を残したリズムを老若男女問わず楽しむ、それがダンソンです。


  • 3月12日放送

    街の至るところから音楽が聞こえてくる港町、ベラクルス。スペイン人が最初に降り立った最古の植民都市であり、カリブからの移民も多いため、音楽や舞踊が盛んな都市です。

    そんな陽気な街の広場では、週末ともなると、ダンソンを演奏する楽団の演奏が聞こえてきます。

    ダンソンは、キューバでダンス音楽として演奏されたのが始まりで、その後メキシコに移民してきた人たちによって、ベラクルスの音楽として定着しました。

    ダンソンは、ゆっくりとしたテンポでステップも覚えやすいので、誰もが自由に踊ることができます。まさに南国の雰囲気漂う、開放的なこの街にピッタリなダンスなのです。


  • 3月19日放送

    メキシコ湾沿いの街、トラコタルパン。「水の間」を意味するこの街は、川の中洲にある小さな街です。人口一万人にも満たないこの街が活気に溢れる日があります。

    毎年2月2日に、キリストが神の子として認められた日を祝い、盛大な祭りが開かれます。それが「聖燭祭(せいしょくさい)」。祭りの日は、この小さな町に50万人以上の人が訪れます。この祭りの恒例は牛追いと、この地方で古くから行われてきた儀式「ボラドーレス」。民族衣装に身を包んだ男達が、命綱なしで高さ30mの柱に上がり、音楽に合わせて飛び立ちます。その歴史は1000年以上。神に五穀豊穣を願い、大地に感謝する儀式です。

    日が暮れると、街の至るところから歌とステップの音が聞こえてきます。音楽と歌に合せて、ステップを踏む踊りは、「ソン・ハローチョ」と呼ばれるもの。小刻みなステップは、フラメンコの影響を受けているといわれ、踏みならす音がパーカッションの役割を果たしています。


  • 3月26日放送

    ラテンの陽気なリズムにあわせ、小刻みなステップを踏む、「ソン・ハローチョ」。早い足の動きは、リズムを取る打楽器の代わりと言われ、また足が浮いてるようにも見えるため、フロタード(浮き足)とも呼ばれています。

    ベラクルスから南に車で2時間、人口8600人ほどの小さな街トラコタルパン。川沿いの小さな街は19世紀に交通の要塞として栄え、カラフルな町並みは世界遺産に登録されています。

    静かなこの街も、2月の「聖燭祭(せいしょくさい)」の日には、たくさんの人々で賑わいます。お祭りに欠かせないのが、「トリート」と呼ばれる地酒。サトウキビから作られるアルコールを果物やピーナッツなどで味付けしたものです。

    そして、美味しいお酒のおつまみは、音楽。ラテンの陽気なリズムにあわせて踊るのは、「ソン・ハローチョ」。独特の真っ白な民族衣装に身を包み、スカートの裾を鳥の羽のように広げるこの優雅な動きは、スカートの裾にある刺繍をみせるため。平均気温23℃のトラコタルパンでは、生地から糸を抜いてレースのような模様を作っていくのが一般的です。