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2014年9月13日放送

今週は、ドル高が進行した。先週5日の8月米雇用統計が市場予想を大幅に下回る中、ドル円は、その日のNYクローズで105円台を維持。これで下値の堅さを確認したマーケットは、週が開けるとドル買が先行、106円台に乗せた。9日には、ダウ平均が一時120ドル近い急落となったことを受けて、ドルが売られる場面が見られたものの、下押しを拾いたい向きが非常に多く、再び高値を更新する展開となった。そして、11日には、安倍首相とランチミーティングを行った黒田日銀総裁が、「物価目標の達成が困難なら躊躇なく追加緩和を行う」と発言すると、ドル買い円売りが加速し、107円台まで上昇。その日の夜には、経済番組に出演した黒田日銀総裁が「今の円安が日本経済にマイナスになるということはない」「追加緩和策の限界はない」などと話したことから、一時、ドルは107.20円の高値まで買い上げられた。続く12日の東京市場では、一時、107.39までドルが買われている。ドル円は、年初来高値であった1月2日の105.45円を終値ベースで完全に上抜けてきた。

ドル円は、今年長らく続いたレンジ相場をようやく上抜けてきた。マクロファンド勢などがこぞってドルを買い上げた他、長期資金によるドル買いも断続的に入っていた。また、16-17日に予定されてるFOMCでは「フォワードガイダンス」の変更があるのではとの憶測も台頭しており、ドル買いを後押ししたようだ。

今週は、当局による後押しも目立った。黒田日銀総裁は11日のランチタイムに安倍首相と会談。終了後には「物価目標の達成が困難なら躊躇なく追加緩和を行う」との発言があったほか、その日の夜には経済番組にも出演し、「今の円安が日本経済にマイナスになるということはない」、「追加緩和策の限界はない」とも発言している。

ドル円は、チャート上では2008年8月15日の高値110.67円が視野に入ってきているが、気をつけなければならないのは、米国サイドからの反応だ。今年1月に105円まで上昇した時点では、ルー米財務長官からの円安牽制発言が見受けられた。今のところ、そうした動きは出てきていないが、ドル円の上昇スピード次第では、1月と同様の牽制発言が出てくる可能性を否定出来ない。米国の反応は、十分に注意する必要があるだろう。

来週のドル円は引き続きしっかりした動きとなりそうだ。長期資金の買い意欲は依然強く、米マクロファンド勢の買いも断続的に出てきている。下値では、9日の高値106.47円が目先の目処として意識されているほか、一目均衡表転換線の105.75円や5日の高値105.71円がサポートレベルとなっている。また、1月2日の高値105.45円もポイントとなる。上値では、チャート上では2008年8月15日の高値110.67円がレジスタンスレベルとして意識されている。本邦実需勢中心にドルを買いそびれている向きも多く、下値は限定的となりそうだ。

来週は、16-17日にFOMCを控えている。今回のFOMCではメンバーの「経済・金利見通し」が発表されるほか、イエレンFRB議長の定例記者会見も予定されており、注目が集まっている。声明文ではフォワードガイダンスの変更があるのかどうかを見極めたい。

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