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2014年8月9日放送

今週のドルは、売られる展開となった。5日に7月米ISM非製造業指数が58.7と市場予想の56.5を上回る強い数字となった時には、一時、102.93円まで買われる場面が見られたが、103円台に断続的にならぶ本邦輸出勢の売りが意識されると、次第にドルは上値を切り下げた。その後、ウクライナ情勢に対するロシアの強硬な姿勢が伝わると、ダウ平均を中心に株式市場が下落。ドル円相場も、情勢緊迫化に連れて、101.99円まで値を下げた。更に、オバマ米大統領が「イラクへの空爆を承認した」との声明を発表すると、日経平均の急落や米10年債利回りの急激な低下を受けて、一時、101.51円(8/8 東京市場)までドルは売り込まれている。

ドル円が乱高下している。7月30日には、130.15円を付けたことから、「このところ続いたレンジ相場を上抜けてきた」との期待が市場参加者に間に広がったが、1日の7月米雇用統計を受けてドル売りが強まると103円台を維持することができなかった。そして、今週に入ると、2つの地政学リスクが強く意識され、市場は一気にリスクオフの様相を呈した。まず、ロシアが、農産物の輸入禁止など欧米諸国への制裁措置を発表。これに対し、これに対しアメリカの政府高官が「強力な追加措置に踏み切る用意がある」と牽制するなどウクライナ情勢が緊迫化。更に、オバマ大統領が、イラク北部への限定的な空爆を許可(8日に空爆実施)したことから中東情勢への不安も拡大した。

また、今週は、米マクロファンド勢がサマーバケーションを前にして、米国株のロングポジションを解消する動きを急いだために、ダウ平均が連日下落。これもドル安の要因となっている。

こうした相場環境の中で、日経平均は当面の目処とされていた1万5000円を割り込み、1万4700円台まで急落。そして、ドル円は、一時101.51円(8/8 東京市場)までドル安が進んだ。しばらく不安定な動きが続きそうだが、今後のウクライナ情勢などを慎重に見極めたい。

来週のドル円は神経質な動きとなりそうだ。ただ、長期資金のドル買い意欲は依然として強い。ドルの下値では、7月23日の安値101.31円が目先の目処として意識されているほか、7月21日の安値101.19円がサポートレベルとなっている。7月18日の安値101.09円も重要なポイントだ。ドルの上値では、200日移動平均線の位置する102.24円がとりあえずの目処となるが、5日の高値102.93円や7月30日の高値103.15円がレジスタンスレベルとして意識されている。本邦勢がお盆休みに入ることもあり、実需のフローは鈍ってくるが、投機的な動きには注意したい。また、来週は、13日に4-6月期GDP速報値が発表される。

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