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2014年7月19日放送

今週のドルは“行って来い”の展開となった。週明け、米シティグループの第2四半期決算が予想を上回る強い結果となったことなどを受けて株価が上昇、為替市場でもドル買いが先行した。15日から16日にかけては、イエレンFRB議長が議会証言。「高レベルの緩和政策は引き続き適切である」としながらも、「労働情勢がFOMCの予想より速く改善し続ければ、利上げ時期は早くなり、ペースも速まるだろう」との見解を示すと、米長期金利の上昇。それに連れてドル買いも強まり、16日には一時101.79円までドル高が進んだ。ただ、このレベルにくると、101.90円台から102.00円にかけて位置している200日移動平均線や一目均衡表雲下限が戻りの目処として意識され、その後は次第に上値を切り下げる展開に。そして、17日、「マレーシア航空機がウクライナ東部のドネツク州の領内で墜落」したことが報じられると一転してドル売りが加速。一時、101.09円まで売り込まれた。ただ、ドルの下値では、10日の安値101.06円が目先の目処として意識され、ショートカバーが入っている。

17日のNY市場は、地政学リスクに大きく揺れた。「アムステルダム発クアラルンプール行きのマレーシア航空機が、ウクライナ東部のドネツク州で墜落、撃墜の可能性も」とのニュースに、市場は一気にリスクオフに。ドル円では安全資産とされる円を買う動きが強まりドル安円高が進行した。ダウ平均も、一時、170ドルを超える急落を見せ、米10年債利回りは、一時、2.4387%まで低下。更に、NY市場の引けにかけては、イスラエル軍がガザ地区への地上侵攻を開始したとのニュースも重なり、市場を揺さぶった。

NY市場は、ショックでリクスオフへと動いたものの、週末のアジア市場は「意外と落ち着いた動き」で推移した。市場参加者からは「単発的なリスクに終わる可能性」との声も聞かれて、株式市場や外国為替市場では、下値を拾う動きも見られた。市場の不安心理は、「何が起きているのか分からない」時が一番のピークを迎える。そして、その時は、17日のNY市場でこなしてしまったのかもしれないが、暫くは事態の推移を注視すべきだ。

17日のマレーシア航空機墜落で、市場はリスクオフへと動いた。今週も、引き続きリスクオフが意識されるかどうか、事態の推移を見守りたい。仮にショックが短期的なものであれば、ドル円は、再びドルの戻りを試す展開になると見ている。その場合は、「本邦実需勢」のドル買いがどこまで観測されるかを見極めることになりそうだ。

ドルの下値では、17日の安値101.09円や10日の安値101.06円が目先の目処として意識されているほか、5月21日の安値100.80円や2月4日の安値100.75円がサポートレベルとなっている。一方、ドルの上値では、200日移動平均線や一目均衡表雲下限の102.0円がとりあえずの目処となっていて、更に、6月18日の高値102.38円がレジスタンスレベルとして意識されている。急激に低下している米10年債利回りの動向やダウ平均、日経平均の動きにも注意したい。

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