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2014年7月5日放送

今週のドルは、買い戻される展開となった。週明けの6月30日は月末、四半期末とあって、本邦輸出勢の売りが強まったことから、一時、101.23円まで値を下げる場面もみられたが、翌1日からは、日経平均の上昇と相まって一転買い戻される展開。3日には6月米雇用統計が市場予想を大幅に上回る強い数字となると一気にドル買いが加速し、一時、102.27円までドル高円安がすすんでいる。

また、ダウ平均は17000円台を達成。史上最高値を更新して3連休前の取引を終えている。

3日(木)に6月米雇用統計が公表された。非農業部門雇用者数は、28.8万人と予想の21.2万人を大幅に上回る強い数字となったほか、失業率も6.1%にまで急低下。加えて、4月分の数字が30.4万人、5月分が22.4万人に上方修正された。ドル円は一時102.27円まで上昇したほか、ダウ平均も17000ドル台を達成して史上最高値を更新するなど、全般的に好意的な反応となっている。

ところで、米株式市場では「強すぎる数字」に対しては、「早期利上げ懸念」などを囃して値を下げるケースが少なくない。しかし、今回は逆に「景気回復への期待感」からダウ平均は大幅な上昇となった。

実は、米雇用統計発表の前日、イエレンFRB議長が講演で重要な発言を行っている。「金融市場の安定化のために金融政策を使うべきではない」述べると共に、「過剰な投機に対してはマクロ・プルーデンス政策」を取るとの見解を表明した。マクロ・プルーデンス政策とは、金融機関の監督や資本規制の強化・拡充といった金融市場全体の安定を狙う対策のこと。つまり、資産バブルのような状況になった場合でも、それを鎮めるために「利上げ」などの金融政策を用いる必要はない、とFRBは考えている。FRBは来年にも始まる金融政策の「正常化」、つまり「利上げ」の方法論などを議論しているが、あくまでも「正常化」のための「利上げ」であって、市場の過熱などに対処するための利上げは行わない、ということだ。

これは、史上最高値を更新中の米株式市場にとって追い風。今回の強すぎる米雇用統計の数字に対する反応も、さらなる史上最高値更新という形で表れている。

来週のドル円は、ドルの底堅い動きを予想。下押しを丁寧に拾っていきたいところだ。ドルの下値では、50日移動平均線の位置する101.97円や200日移動平均の101.74円がサポートレベルとして意識されている。ドルの上値では、一目均衡表雲上限の102.48円が目先の目処となっているが、6月4日の高値102.80円や5月2日の高値103.025円がレジスタンスレベルとして意識されている。いずれにしても、引き続き日経平均の動向や本邦長期資金の動きを睨むことになりそうだ。

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