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2014年6月21日放送

今週のドル円は、週明け早々に、日経平均の下落を受けて101.71円までドル安円高が進む場面がみられたが、17日に発表された5月米消費者物価指数(CPI)が前月比で0.4%と市場予想の0.2%を大幅に上回る強い数字となったことから、一転して、ドルが買われる展開となった。米10年債利回りが上昇したことも買い戻しを後押しし、12日の高値102.14円を上抜けている。

18日のFOMCでは、政策金利の据え置きと、資産買入額の100億ドルの縮小が決定。ここまでは予定通りだったが、同時に公表された「経済・金利見通し」で、FF金利の長期的な適正水準の見通しが4.0%から3.75%に引き下げられたことからドル売りが強まる展開となり、週末にかけては、一時、101.74円までドルが売られた。ただ、この水準では、12日の安値101.57円と200日移動平均線が位置する101.60円が目先の目処として意識されたこともあり、その後はもみ合う展開となっている。

注目されたFOMCの声明文だが、家計支出については「緩やかに上昇している」と若干下方修正をしたものの、設備投資については「前進を再開した」と上方修正。トータルでは、「経済活動はここ数ヶ月回復している」と景気に対し強気の見方をしている。しかし、同時に「資産買入れ終了後もかなりの期間、緩和的な政策が適切である」ことも再確認し、異例の低金利を長期間継続することも明らかにした。

そして、債券市場参加者が特に意識していた「経済・金利見通し」では、FOMC参加者が想定するFF金利の水準が、長期的には4.00%から3.75%に引き下げられていたことが判明。これを受け、米10年債利回りが2.5844%まで急低下した。一方で、好調な経済成長を受けて、2015年末の適正水準は前回の1.00%から1.125%、2016年末では2.25%から2.50%へと逆に引き上げられている。長期的には低水準が適切であるとされた一方で、利上げのペースが若干速まる可能性が高まったと見ることもできよう。

今回のFOMCの声明文は、足元の景気判断が上方修正されているわけであるから、株価にはプラス要因。日経平均も重要なテクニカルポイントである15102.67円を終値ベースで再び上抜けしてきた。昨年12月30日の高値16320.22円から4月11日の安値13885.11円までの下落局面からの半値戻しの水準がサポートレベルとして意識されるのであれば、「半値戻しは全値戻し」とセンチメントも好転するかもしれない。

また、イエレンFRB議長は「償還資金の再投資についてはまだ結論は出ていない」としながらも、「今年後半に正常化についての詳細を説明する」予定であることを記者会見で表明。利上げの時期やペース、または再投資の継続期間などの「出口戦略」について、ある程度明らかにしていく意向を示した。ただ、利上げの時期については「米国経済の進展次第だ」などと、言質をとられない言い振りに終始した。

来週のドル円は、引き続き神経質な動きを予想している。オプションの1ヶ月物ボラティリティが4.87%と市場最低水準を更新。市場で膠着感がかなり強まっている。W杯開催中とあって、海外勢中心に取引を手控える向きも少なくない。下値では、12日の安値と200日移動平均線が位置する101.60円や5月29日の安値101.42円が目先の目処として意識されている。上値では、18日の高値102.38円が目先の目処として意識されているほか、一目均衡表雲上限の102.67円や6月4日の高値102.80円がレジスタンスレベルとなっている。また、ドル円の動きは、日経平均の動向次第となる可能性も高い。

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