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2014年6月7日放送

今週のドルは買われる展開となった。週明け早々から海外マクロファンド勢と見られる買いが強まると上値を試す動きに。市場では「102.00円から102.20円には本邦輸出勢の売りがまとまって観測されている」との声も聞かれたが、日経平均の上昇や米長期金利の上昇に後押しされるように、一時、102.80円まで値を上げた。ただ、その後は、5月ADP全米雇用報告の数字が市場予想を下回ったことや米雇用統計前のポジション調整で102.26円まで値を下げている。

ここのところ、海外のヘッジファンドやその他の機関投資家が相次いで来日している。関係者との面談などを通して日本を再評価し、ポジティブな印象を得ているようだ。この2週間余りで、日本の株価が上昇してきているのは、こうした海外勢が再び買い始めていることが原因ではないか、という声もある。彼らが、再び日本株への投資に前向きになった理由は3つあると見ている。一つ目は、消費税の引き上げから2ヶ月が経過したが、駆け込み需要の反動が思っていたより大きくなかったこと。二つ目は、安倍政権の改革推進の姿勢。農業改革案が政府の規制改革会議でまとめられたことなどを評価している。そして、最後は、GPIFの運用委員長・米沢氏の発言。メディアのインタビューで株式への配分を増やすことに前向きな姿勢を見せている。

ECB=欧州中銀は、5日に開催した理事会において、追加の金融緩和を決定した。具体的には、政策金利を0.25%から0.15%へ、中銀預金金利を0.0%から▲0.1%へ、そして限界貸出金利を0.75%から0.40%へとそれぞれ引き下げている。特に中銀預金金利▲0.1%は、主要中銀では初めてのマイナス金利だ。今後、約2000億ユーロと言われている中銀預金の資金が、どこに向かうかが焦点となる。これらの措置は、流動性の供給を狙ったものであり、大胆な緩和策と受け止められている。

また、ECBのドラギ総裁は、4000億ユーロ規模の的を絞った形の「LTRO(長期流動性供給オペ)の実施」を記者会見で表明したほか、「ABS(資産担保証券)の買入れに向けた準備を強化」するとして、将来的な「非伝統的措置」としての量的緩和政策導入の可能性も示唆している。更に、ドラギ総裁は「ECBの措置は終わっていない」、「金利は予想よりも長期的に低水準になる可能性がある」とも話している。

こうしたECBドラギ総裁の会見を受けて、ユーロドルは、1.3503ドルの安値まで急落したが、その後は材料が出尽くしたとして一転買い戻しの動きが強まり、一時1.3670ドルをつけている。市場では、これまでユーロドルのショートポジションが大量に構築されていたことから、その反動が出たかたちだ。

今週のドル円は底堅い動きを予想している。ドルの下値では、一目均衡表転換線の102.11円が目先の目処として意識されているほか、200日移動平均線の位置する101.46円が重要なサポートレベルとなっている。ドルの上値では、4日の高値102.80円がとりあえずの目処となっているが、5月2日の高値103.025円や4月8日の高値103.12円もレジスタンスレベルとして意識されている。また、4月4日の高値104.13円もポイントだ。

日経平均も2013年12月30日の高値16320.22円から4月11日の安値13885.11円までの下落局面からの半値戻しである15102.67円がポイントとなっており、株価次第では円全般に安い地合いが続きそうだ。

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