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2007年12月8日放送

サブプライムローン問題は依然として混迷状態にあるが、一部では対応策が講じられようとしている。今週6日、米政府がサブプライムローン(変動金利型)のローン金利を5年間凍結するという救済策を発表した。

また、英国政府は欧州委員会に対して、サブプライムローン問題の余波で経営危機に陥っている英中堅銀行のノーザンロックに対する緊急融資の承認を申請し、欧州委員会はこれを承認している。

4日、カナダ中央銀行は最近の米ドル安カナダドル高によるインフレ沈静化や米国市場の低迷などを考慮し政策金利を0.25%引き下げ、4.25%とした。またイギリス中銀も6日、英国の住宅市場の低迷などに対応して、政策金利を0.25%引き下げ5.5%とした。

11日には米国のFOMCが開催され、10月のFOMCに続いて金利の引き下げが実施される可能性が高くなってきている。各国の中銀もサブプライムローン問題の自国経済に対するマイナスの影響に対して、緊急の対応を迫られている。

こうした官民の一連の対応策を好感して米国株式市場では株価が上昇している。NYダウ平均株価も11月最終週を底値に反発し、10月初旬の水準にまで回復してきた。米国株式市場の回復に伴い、日経平均など各国の株価も上昇してきている。また、為替市場では米国金融市場の安定を好感してドル高円安の傾向が強まっている。

しかし、心配な要素も依然として残っている。ロンドンの銀行間資金市場の金利水準を見ると、11月後半から急上昇し、現在も高水準で推移している。各金融機関が資金の出し渋りをしていているために資金市場で資金不足となり、それに不安を感じた各銀行が安定資金の確保に動いているという背景がある。金融市場は表面上には落ち着いているものの、不安材料が依然として残っている。

為替市場も一頃に比べればかなり安定してきた感があるが、サブプライムローン問題が根本的に解決したわけではないので、この先も新たなニュースにより市場が大きく動く可能性は残っている。こうした状態では投資家も一方向にリスクを傾けづらい。

来週も円相場は方向感のない状態が続く公算は高い。11日のFOMCの結果に注目が集まる。

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