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2007年6月9日 放送

ここ最近主要国の利上げが相次いでいる。今週6日にはECBが政策金利を0.25%引き上げ4.00%とすることを決定した。また、翌日の7日にはニュージーランドが同じく政策金利を0.25%引き上げ8%とすることを発表した。その他にもスイス、カナダなどが、次回の政策決定会合で利上げを実施することが確実視されている。このところの世界経済全体の底堅さとインフレの高止まりが、各国の中央銀行に利上げを決断させている。

また、米国でも長短金利が急上昇している。今週発表されたISM協会非製造業景況指数5月分が予想55.8に対して59.7と大幅な改善を見せるなど、米国の経済指標は全体的に上向いてきている。また、原油価格は再び70ドルに迫る勢いで上昇しており、インフレ懸念が台頭。一時期盛り上がりを見せていたFRBの利下げ期待観測は大きく後退した。米国債10年物の利回りも今週5%の大台を突破し、5.1%台にまで上昇。この水準は去年の7月以来、約1年ぶりの高水準だ。

米国金利の上昇に歩調を合わせる形で国内の長短金利も上昇してきている。日本国債10年物の利回りも5月の後半以降上昇傾向に入り、今週は2%に近づく局面も見られた。その他、短期・中期金利も同様に上昇を見せており、いよいよ市場は次回の日銀の利上げを織り込んできている。しかし、国内金利は上昇してきているものの、他国の金利も上昇してきているため、円と他の通貨の金利差は縮まっていない。そのため、円金利の上昇が為替相場での円高には繋がっていない状況にある。

一方、こうした世界各国の金利上昇を嫌気して、それまで堅調に推移してきた株式市場に変化が見えている。今週、ニューヨークダウ平均は金利が上昇する中、連日続落する展開をみせた。原油高によるインフレ懸念、金利上昇に伴う企業の負担増などが株価軟調の要因となっている。2月から3月にかけても一度株価が大きく下落する局面があった。このときは、中国株式市場急落の余波を受けた形であったが、今回は米国の景気回復による金利上昇が株価下落の要因ということで、他の市場への影響は今のところ限定的となっている。

各国の金利が上昇していることで、株式市場が不安定になってきており、今後の動向も不透明になってきた。各国のファンダメンタルズに変化はないものの、金融市場に動揺が起きると、一時的にそれまでの流れの逆流現象が起きることもしばしばある。ボーナスシーズンに突入し、新規の外貨投資で円安に振れやすい時期に差し掛かってくるものの、その前に調整が起きるかもしれない。市場関係者もこうした点を心配しているようである。来週はやや荒れた相場展開になるかもしれない。

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