2006年 12月23日の放送


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 12月19日、日銀は2006年最後となる金融政策決定会合を開き、短期政策金利を現状の0.25%に据え置く決定をした。市場関係者の間でも、今回は金利の引き上げは見送られるとの見方が大勢を占めていただけに、決定内容自体にはさほど驚きはなかった。

 しかしながら、福井日銀総裁が会見の中で、消費やインフレ動向について弱気な見通しを示したことは市場関係者に大きな驚きをもたらした。また、利上げが後にずれる可能性にも言及したことで来年1月の利上げさえも疑問視する声が高まっている。


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 こうした福井総裁の意外感のある発言を受けて、早期利上げ観測が急速に後退した。その結果、長短の金利がともに急低下を見せている。長期金利国債の10年物の利回りは1.6%を割り込み1.5%台に突入。この水準は、今年2月以来の低水準である。

 こうした金利の低下を受けて、外国為替市場でも円安基調が継続し、米国景気の落ち込みが顕著であるにもかかわらず、ドル円は118円台での推移となっている。

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 今回の総裁発言で今のところ1月利上げの可能性がかなり低くなってきた。来年1月17-18日の政策決定会合までに経済指標が大幅に改善していれば再び利上げ観測が強まるであろうが、現状から考えるとそれほど大きな改善は見込み薄であろう。

 当然、外国為替市場では円安が更に進行すると予想されるが、あまり大幅に円安が進むと、2月に開催されるG7で円安是正が議論される可能性が高くなってくる。円安阻止を理由とした利上げの実施というシナリオがここで浮上してくるかもしれない。

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 今週18日、タイの金融市場に激震が走った。タイ政府は最近のタイバーツの上昇に対抗して、国内市場に資本規制を導入することを発表した。規制の内容は、非居住者による新規のタイバーツ買いに対して、30%の準備金の積立てを義務付けるというもの。

 タイでは、自国通貨のタイバーツが今年に入って急上昇し、1997年のアジア通貨危機以前の水準にまで上昇していた。タイも輸出主導型の経済構造であるため、自国通貨の上昇は実態経済に大きな打撃を与える。今回はこうしたリスクを防止するために導入された規制である。

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 規制の発表を受けて、タイの金融市場が大混乱に陥っている。発表の翌日のタイ国内株式市場は1日で約16%もの大幅な下落を見せた。これに対して、タイ政府は翌日、株式購入に関してのタイバーツ買いを規制から除外すると発表、その結果株式市場は反騰したものの、一連の政府の対応について、投資家の不信感は急激に高まっている。

 外国為替市場ではタイバーツが急落したまま、回復しない状態。タイバーツの上昇を止めるという政府のもくろみは今のところ成功しているといえるが、今回の措置で海外投資家のタイへの信頼感は大幅に低下した。こうした「代償」は今後、かなり大きなものになるかもしれない。

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 来週の前半は海外がクリスマス休暇のため、市場は閑散、外為市場も動意の薄い展開になる。クリスマス休暇明けの27日から市場の取引は再び本格化する。TS指数は75.0と当面の円安を予想する結果となっていて、日銀の利上げ観測後退を背景とした円安基調がしばらく続きそうだ。