2006年 4月8日の放送


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 日本の景気回復に対して市場が敏感に反応し始めている。日経平均株価は5年9ヶ月ぶりの高値をつけ、東証株式指数にいたっては14年5ヶ月ぶりの高値にまで上昇した。上場企業の3月期の決算は非常に好調と予想されている上、今期も大幅な業績の伸びが期待されている。また、各企業の採用計画を見ても、採用人数を大幅に拡大しており、雇用環境も回復してきた。賃金も徐々に伸びていることから、今後、堅調な消費に支えられた一段の景気拡大が期待されている。


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 また、こうした景気拡大を受けて、長期金利も上昇を始めている。3月に日銀が量的緩和の解除を決定してから、長期金利の上昇が鮮明になっている。市場では、7月にも利上げがあるのではないかという声も聞かれ始めており、景気拡大、デフレ脱却を背景にした金利の上昇は今後も進行していくものと考えられる。しかしながら、日銀もあまりに拙速な利上げを行うとは思われず、上昇のスピードは緩やかなものにとどまるだろう。

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 一方、為替相場は株高、金利高にもかかわらず、非常に安定した動きを見せている。対米ドルで見ても、年初来115-120円の狭いレンジの中で安定した動きを見せており、対ユーロにおいては、ここのところの欧州の景気拡大という好材料も影響して、徐々に円安が進行し、1999年1月にユーロが発足して以来の最高値を更新した。こうした為替の安定した動きは輸出主体の日本経済にとっては好材料であり、景気拡大を支える一つの要因となろう。

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 今後のリスクとしては、アメリカ経済や中国経済の腰折れが考えられる。特にアメリカ経済に対しては、近い将来の減速を懸念する声が多く、今後の経済指標から目が話せない状態である。直近のリスクとしては、今月20日の胡錦濤中国国家主席の訪米であろう。訪米を前に中国は人民元を徐々に切り上げている。しかし、米国サイドからは大幅な切り上げ圧力が起きており、現状のスピードは米国にとってとても満足いくものではない。従って20日に向けて、米国サイドから更なる切り上げを要求する声が上がり、それに市場が反応する可能性がある。その場合は円にも一時的な円高圧力が働く可能性がある。

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 来週の予想レンジについては、市場関係者は若干の円安を予想している。4月は日本の機関投資家の新規投資が期待されることや、アメリカ経済やヨーロッパ経済が比較的好調で、金利も上昇していることを理由にしている人が多い。ただし、急激な相場変動を予想する人は少なく、今後もしばらくはレンジ内での緩やかな動きになるであろう。来週のドル円の予想レンジは116-119円、ユーロ円は142-145円を予想する。