2006年 2月4日の放送

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 1月31日、グリーンスパン議長最後となるFOMCで、FRBは政策金利を0.25%上げFFレートを4.50%とした。FRBは2004年の半ばから、約2年半かけて3.5%金利を上げてきたことになる。超低金利政策を続けてきた状態から正常な金利レベルにもどりつつあるが、その間も物価は徐々にではあるが上昇してきている。


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 FOMCが発表した声明を見てみると、前回の12月のFOMCのときより、表現がやや慎重なものとなっている。しかし、同時にインフレに対する警戒感も示しており、バーナンキ新議長の下での始めてのFOMCとなる3月にも0.25%の利上げを行うと予想する市場関係者が大半を占めている。このため、市場の金利は今後の利上げを織り込み、3ヶ月物の先物では後2回の利上げ水準である5.00%近くまで上昇してきている。

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 今週は欧州のECBでも理事会が行われた。今回は全員一致で金利据え置きを決定したものの、同時に行われた会見でトリシェ総裁が「我々は警戒を強めた」「警戒という言葉を3回申し上げたが、それに気づいてもらえてうれしい」など、次回3月に行われる理事会での利上げを示唆するような発言をしたことは、注目に値する。原油価格など、資源価格が高止まりする中、ECBはインフレに非常に警戒感を持っており、3月の利上げの可能性がかなり高くなってきた。

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 一方の日本であるが、多くの市場関係者が春先の量的緩和解除を予想している中、日銀サイドから慎重な発言が飛び出した。総裁が量的緩和解除に強い意欲を見せる中、今週、武藤副総裁が会見で「条件が満たされたかどうか判断するのはまだ早い」と量的緩和解除に慎重な姿勢を見せたことで、日銀も必ずしも一枚岩ではないかもしれないという観測も聞かれるようになってきた。

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 そうした中、日本の物価は徐々にではあるが上昇してきている。日銀が最も注目している全国消費者物価指数(除く生鮮品)は2ヶ月連続でプラスになっており、今後も緩やかではあるものの、上昇を続けていく可能性が高い。こうした環境の中において、量的緩和解除にもたつきを見せていると、当面実質金利がマイナスになるという状態が続くこととなり、円が売られやすい環境が継続するということになる。

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 GSEC指標をみると円安予想、円高予想が殆ど拮抗している。最近のドルの上昇スピードがやや速いため、高値警戒感が広がっている。12月の急激な円高が、まだ残像として残っていることも、警戒感を更に高めている原因となっていると推測できる。全般的な円安傾向に変化はないだろうが、一層のドル高円安となるためには、もう1つ材料が欲しいところである。来週はもみ合いの展開となると予想する