2005年 10月29日の放送

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 為替相場は今月に入り、円独歩安の展開の様相を濃くしてきた。この2ヶ月の他の主要通貨に対する対円レートの推移を見ると軒並み円安になっているのがわかる。上昇率の高かったカナダドル、ニュージーランドドル、米ドルは、この間にそれぞれ、0.25%の利上げが実施された。まだ、豪ドル、英ポンド、ユーロなども最近のインフレ傾向への懸念から利上げ観測が浮上し始めている。

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 こうした、各国でも利上げの動きに敏感に反応して日本の投資資金が海外に流出し始めている。日本でも日銀関係者が将来のゼロ金利解除を匂わせる発言をしているものの、金曜日に発表された9月の消費者物価指数は前年比-0.3%と以前ゼロ以下の水準で推移している。他の主要国が利上げ傾向にあるなか、国内の投資家は資金の投資先を海外に求めている。対外証券投資は、今月も旺盛で、10月22日までで約3兆円と春先の水準に迫る大きな金額となっている。

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 投資家別に見てみると、個人投資家は高い金利を求めて、主要国の中でも比較的金利の高いオセアニアに注目している。WEST PAC銀行の調べによると、今年に入っても日本投資家向けオセアニア通貨建ての発行が続いている。特に今年にはいってからは、より金利の高いニューランドドル建ての発行が豪ドル建ての発行金額に肩を並べるほど伸びている。一方の機関投資家であるが、新規の投資に加えて、それまでのヘッジ付きの外債投資から、ヘッジなしのオープン外債への投資に移行している。こうした動きも円安を加速させる要因となっている。

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 一方貿易に関する動向であるが、今週発表された日本の貿易収支は、黒字額が季節調整後で5564億円と今年最低の水準にとどまった。グラフを見てわかるように、今年は2月をピークに黒字幅はほぼ毎月減少している。原油高が大きく影響しているが、こうした貿易面でも円高圧力が徐々に減少してきている。

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 GSEC指数は今週も円安を予想している結果となっている。来週は11/1にFOMCがあり、0.25%の利上げが予想されている。こうした中、金利差拡大からジャパンマネーが更に米国中に海外へと流れると予想される。アメリカの景気状態にやや不安があるために、対ドルでの一方的な円安にはなりにくいと思うが、引き続き円独歩安の流れは変わらないと予想する。