2005年 7月30日の放送

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 7月21日中国人民銀行は、人民元の改革案を発表した。発表日の終値をそれまでより、2.1%切り上げをした1ドル=8.11人民元とした後、毎日上下0.3%の範囲内での管理フロートという内容であった。この内容を受け、市場では翌日以降の終値の推移に注目が集まった。しかし、結果は、非常に小さな幅での変動で毎日推移しており、更なる切り上げを期待していた市場関係者の中に失望感が広がっている。今後も中国人民銀行は為替レートをあまり大きくは動かさないように管理していく可能性が高く、次第に市場の関心は薄れていくであろう。

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 こうした、中国人民銀行の慎重な対応を見て、市場も更なる切り上げに対する期待感がやや弱まってきている。今月のはじめより、8月の切り上げの可能性の高まりを受けて、人民元の先物市場では、人民元の買いが殺到していた。7月21日の予想より早い時期の切り上げ発表を受けて、市場の期待感は更に高まり、25日には更に5%の切り上げを期待する水準まで達した。しかし、その後毎日の人民元レートの終値がほとんど動かないことで、失望感が広がり、やや人民元安に戻す展開となっている。

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 人民元の話題に市場の関心が薄れていく中、再び米国景気に目が移る可能性がある。今週発表された新築住宅販売件数は、またしても前月を上回る結果となり、非常に堅調な住宅需要を再確認することとなった。この数ヶ月中古住宅の販売件数も増加傾向にあり、一部では住宅バブルを懸念する声も出てきているものの、足元の需要は非常に堅調であることは疑いのない事実である。これは1つにはFRBが短期金利を継続的に上げているにもかかわらず、長期金利がそれほどは上昇しておらず、依然低水準にあることもかなり影響していると考えられる。

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 GSEC指数を見ると、徐々に円高と予想する関係者が増えてきている。日本の株式市場が堅調なことや、人民元ショックが和らいだこと後も思ったより円安が進行しないことを見ての予想と考えられる。また、対欧州通貨でもドル相場はもみ合いに入ってきており、一時期のドル高期待が高すぎた反動の表れとみることもできる。日本の政局の行方がどうなるか非常に不透明な中での予想は非常に難しく、一部では既に夏休みに入っている投資家もいることから、それほど大きな方向はでづらい環境になるであろう。