2005年 5月28日の放送

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 フランスのEU憲法批准の是非を問う国民投票が29日に行われる。当初は賛成派が多数を占めていたが、投票日が近づくにつれ反対派が勢いを増し、直近の調査では54〜55%に達したという(26日付ロイター報道)。

 また6月1日に国民投票を控えるオランダでも反対派が増えており、政府調べでは反対派が4割に達したと、26日付の日経新聞が報じている。為替市場では憲法が却下される可能性を折込み始めた。結果はフタを開けるまでわからないものの、万一批准が却下されると、フランスはEU外交や安全保障政策面で指導的役割を果たせなくなるばかりでなく、内閣の責任問題にも発展し、国内政治の混乱を招く可能性が出てきそうだ。

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 フランスやオランダでは反対派が多い理由のひとつは、経済的要因。欧州の経済が全般に好調で、多少労働者にも余裕があれば経済的効率化を促すEUの枠組みももっと積極的に支持されたかもしれないが、承知のように、ユーロ圏各国、特にドイツやフランスは低成長から脱しきれないでいる。

 上はフランスのGDP推移(季節調整済、前期比%)だが、今年第1四半期は+0.2%にとどまり前期から0.5ポイントも下落した。個人消費をはじめ内需全体も伸び率が低下してきていることがわかる。

 消費者信頼感指数も昨年夏ごろは上向いていたが年末にかけ失速、再びマイナス25前後で低迷している(上の折れ線グラフ、右軸)。このためフランスは失業対策等でワークシェアリングを実施しているが、これがまた不評で(1人あたりの所得を減少させるため)、フランス内閣への風当たりが強い。

 これに加え、EU憲法はユーロ圏内の労働者移動をスムーズにして賃金低下に拍車をかけるとの懸念が一般国民にあり、反発を買っている状況となっている。オランダもユーロの枠組みを支えるための財政負担がすでに嫌がられている上に、さらに国の自主権を奪う憲法導入には慎重な人が多い。今週末から来週にかけては、ユーロに絡む動向が益々注目されよう。(Data:フランス国立統計経済研究所、ブルムバーグ)

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 一方日本のGDPは復活し、欧州と好対照をなしている。この3四半期低迷していたが、第1四半期のGDPは季節調整済み前期比で+1.3%を示現、国内需要も+1.4%と前期の+0.1%から大きく伸びた。27日に経産省から発表された4月の商業販売額(速報)も、小売業が前年比で+3.9%、卸売業は同+3.0%とそれぞれ堅調な伸びを示している。米国や中国の経済もそこそこ堅調に推移しており、今後も日本経済は好調を維持しそうだ。(Data:内閣府)

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 従って今後市場の眼は、いつデフレが収束するかに注がれることになろう。27日に消費者物価指数が発表されたが、注目の全国(生鮮食品除き、4月分)の数字は前年比はマイナス0.2%、東京都区部のそれ(5月分)はマイナス0.4%であった。依然として水面下で推移しているが、若干改善の傾向も見られており、年後半は物価の推移と日銀の動向が金融市場を揺るがすことも起こりそうだ。

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 ドル円は引き続きレンジトレードとなっており、市場関係者の見方は中立となっている。GSECアンケートでも、レンジ予想が圧倒的に多くなってきた。注目のユーロだが、国民投票が終われば材料出尽くしで、いったんユーロは戻るとの指摘が多い。そうなれば若干円高方向に動くことが予想される。大差で否決されれば下値トライとなろうが、ユーロ買戻しの動きも予想され、意外と相場観が交錯する展開となるかもしれない。