2004年 12月11日の放送

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 19世紀の初頭、中国とインドを合わせると世界のGDPの45%を占めていたと言われている。その後150年間、後進国の地位に甘んじていた中国とインドがまた世界の桧舞台に上りつつある。しかしながら、過去25年間は中国が常にインドに先行していた。中国は1978年に改革・開放経済へ移行していたが、インドと言えば、つい10数年前の1991年に漸く、事実上の鎖国政策を転換し国際経済に回帰したばかりなのである。

 中国は2003年のインドの名目GDPは5,750億ドルで中国は1兆4,100億ドルであった。国によって大きく異なる物価水準を加味して算出する「購買力平価」ベースのGDPを見てみると、中国が6兆3,450億ドルで米国についで世界2位、インドは2兆8,860億ドルで3位の日本に次いで世界4位となる。いずれから見ても中国がインドの2倍強の経済規模を有することは同じである。

 1人当りの名目GDPはインドが536ドル、中国が1,091ドルである。経済成長率はインフレの影響を除いた実質で見ると、過去10年の平均でインドは6.2%、中国は9.0%と差があるが、生活実感に近い名目成長率では、インドが12.5%、中国が同13.3%とあまり差はないのである。

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 インドの人口ピラミッドは裾広がりの典型的途上国パターンであるが、昨今の死亡率の低下、平均余命の伸びを背景に、今後数年でピークが15〜59歳の労働力層に移って来る。その結果、2009年には7億5千万人という巨大な労働力人口を有する国となると予想される。一方、中国は急速に高齢化社会に向かうことが必至。

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 人口ピラミッドの動きとともに、中間層(ここでは最低で年収2,300ドル以上、1人当りのGDPの4倍強の収入がある層)が急拡大している。2009年には中間層と上位中間層合わせた人口が10億人を超えるものと見られている。乗用車、家電、サービス等の購買意欲が強い上位中間層(年収6,800ドル以上)の人口も5億人を超える。

 中間層をターゲットとした、いわば先進国型の消費財・サービス市場は既に立ち上がっており、猛烈な勢いで拡大している。具体的には、住宅、自動車、コンピュータ、携帯、白物家電、ブランド衣料品、レジャー、旅行、外食、ヘルスケア、医薬品、住宅ローン、保険、投資信託等々。市場の飽和は当面ないものと予想されることから、新規参入が相次いでいる。特に、自動車や家電市場における韓国勢(サムスン、ヒュンダイ、デーウ、LG)の躍進は凄まじく、現地に行けば、街を歩いてもテレビを見ても、韓国製品の広告ばかり。当然のことながら、それらのブランド・レコグニションは非常に高い。日本製品の品質の高さについては知っていても、「普通には買えない」商品。

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 日本では、インドといえば、IT、ソフトウェアとの認識が強いようであるが、バイオテック、高度医療等、世界中が熱い目注いでいる産業は少なくないのである。いずれも、知識集約型の産業で、中国の労働集約型産業構造とは一線を画している。また、外資頼みではなく技術の内製化が進んでいる点もインドの強み。一方で、繊維等の労働集約型産業も力をつけつつあるが、この分野への裾野の拡がりと輸出競争力の上昇が期待されてる。

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 インド政府はインフラ投資に最大の力を注いでおり、資金面・技術面における日本企業の参画に大いに期待している。