2004年 11月13日の放送

< 1 >

 10月来、ドルは、対円、対ユーロで5%程度下落している。しかも、このドル安トレンドは、米大統領選におけるブッシュ大統領の勝利や米国10月の雇用統計における非農業雇用者数の急増によっても、変化がなかった。すなわち、為替市場は、巨額の米経常収支赤字削減に向けた米国政府のドル政策変更(ドル安のBenign Neglect)を敏感に嗅ぎ取って、ドル売りを進めているとみることが出来る。今週に入って、米国9月分の貿易赤字が予想を下回ったことや、ECB高官による口先介入によって、一旦、調整局面を迎えたが、早晩、ドル安の流れが戻ってくるとみている。

< 2 >

 しかも、ドル安トレンド復活の兆候はすでに出てきている。昨日発表されたわが国7−9月期の実質GDP成長率は前期比0.1%増と、事前予想の0.5%増を大幅に下回った上、成長率は4−6月期の0.3%増をも下回った。通常であれば、円が売り戻されるところであるが、事実はむしろ1ドル=106円を上回るほど円買いが進んだ。これは、依然、市場のドル売りセンチメントが根強いことを示している。

< 3 >

 また、ECBの口先介入にも大きな変化が出てきた。今週、後半になって、ガルガナス・ギリシャ中銀総裁やウエリンク・オランダ中銀総裁からは、ECBが、ユーロの特定水準ではなく、急激な変動を問題にしている旨の発言が出てきた。このような認識が市場に浸透してくれば、外為市場には、再びユーロ高ドル安トレンドが戻ってこよう。

< 4 >

 したがって、ドル円相場も早晩1ドル=105円を割り込む公算が高いとみているが、その場合、わが国通貨当局の出方が注目されよう。歴史的にみても、1993年8月、94年4月から95年2月、95年9月、99年12月から2000年1月と、1ドル=100円割れを阻止するドル買い介入が、わが国財務省によって繰り返されてきた。したがって、当然、105円割れとなれば、介入警戒感が高まることが予想されるが、実際にドル買い介入が実施される可能性もないとはいえまい。

< 5 >

 以上みてきたように、市場のドル安センチメントは根強く、ECBもユーロの特定水準ではなく、上昇速度に注目しているようである。また、来週発表される経済指標も、比較的重要度が軽いため、何かのきっかけで、外国為替市場に、再びドル売りトレンドが戻ってくる公算は高いとみられる。GSEC指数も28.6%と本年4月以来の低水準となっており、有力為替ディーラーの間でのドル安センチメントは非常に強い。来週中にも1ドル=105円が割れる可能性があろう。