2003年 8月9日の放送

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  7月上旬にワイルドに上昇、約1年ぶりに10000円(日経平均)をつけた日本株だったが、その後はやや失速気味だ。今週の日経平均は一時9200円台まで下落、先月は12000円も射程圏内ともてはやされたが、やや先行きが微妙になってきた。このため債券価格は再び堅調な動きを見せており、先物価格(9月限)は142円台へ上伸、利回りは0.8%台まで低下した。日本国債は過去、何度も暴落・急落を演じては買い戻されてきた。今回もふたたび “構造デフレ”をフォローの風にして、買い進まれるのであろうか。株が軟調な理由は、米株(特にナスダック)に力強さがないこともあるが、7月のブル相場の原動力となっていた外国人投資家による日本株買いが細っている要因が大きい。

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  7月上旬にワイルドに上昇、約1年ぶりに10000円(日経平均)をつけた日本株だったが、その後はやや失速気味だ。今週の日経平均は一時9200円台まで下落、先月は12000円も射程圏内ともてはやされたが、やや先行きが微妙になってきた。このため債券価格は再び堅調な動きを見せており、先物価格(9月限)は142円台へ上伸、利回りは0.8%台まで低下した。日本国債は過去、何度も暴落・急落を演じては買い戻されてきた。今回もふたたび “構造デフレ”をフォローの風にして、買い進まれるのであろうか。株が軟調な理由は、米株(特にナスダック)に力強さがないこともあるが、7月のブル相場の原動力となっていた外国人投資家による日本株買いが細っている要因が大きい。

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  それでも政府は、景気に対して強気の見方を崩していない。内閣府経済社会研究所が6日に発表した6月の景気動向指数は、景気の現状を示す一致指数が66.7%と2ヶ月連続で節目の50%を上回った。また半年程度先の景気動向を占う先行指数も80.0%と、こちらも2ヶ月連続で50%を上回った。

 このため、竹中平蔵経済財政・金融担当相は、5日に提出した8月の月例経済報告の基調判断をやや明るいものに変えている。景気の現状は「おおむね横ばい」としたものの、7月に「一部に弱い動きが見られる」としていた個所を削除した。代わりに「株価やアメリカ経済の動きなど、我が国の景気をめぐる環境に変化の兆しがある」と表記、「米経済等の回復が持続すれば、景気は持ち直しに向かうことが期待される」と述べている。このまま再び株価が9000円を割り込むようだと、再び“債券高、株安”のデフレ相場に突入するリスクがあるだけに、政府としては何としても人々の期待を高め、株価上昇の第2幕を開けたいところだ。

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  月例経済報告が指摘するように、米景気回復が持続するかどうかは、日本にとって最重要ファクターのひとつと言って良い。幸い、このところ発表される米国の経済指標はそう悪い内容ではない。8月のISMの製造業景況指数は51.8と前月の49.8から改善したし、非製造業の景況指数も65.1と大きく上伸した。

 7日に発表された第2四半期の非農業部門の労働生産性指数も予想以上に伸び、前期比年率で5.7%上昇と、前期の2.1%上昇から大きく加速した(上のグラフ)。ただし、気になるのはその背景。今回の生産性改善は、労働総投入量指数が2.2%も減少したことが主因であり、これは現在の米国経済が“雇用なき回復”の途上にあることを示している。1日に発表された非農業部門雇用者増加数も前月比マイナスに終わっている。

 生産性の上昇そのものは景気にプラスだが、その先行きは依然予断を許さぬ状況にあるようだ。

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  1日(金)の海外市場は、日本の機関投資家がユーロを円に換える動きが出るとの憶測から、ユーロ売り円買いが進んだ。このためドルも対円で値を下げ、120円15銭で引けた。4日(月)の東京市場は120円を挟んだ動き。海外では、ユーロが対円で上伸したことから、ドルも一時120円61銭まで上昇した。引けは120円30銭。5日(火)の東京市場は、120円台前半の小動き。海外ではドル売りが優勢となり、119円85銭で引けた。6日(水)の東京市場は、120円を挟んだ動き。海外では一部米銀によるドル買いを受け、120円台前半で推移した。7日(木)の東京市場は、120円台前半で小動きだったが、海外では米系ファンドから大口のドル売りが持ち込まれると、ドルは値を崩し、ストップロスも巻き込んで一時118円81銭まで下落する展開となった。 8日(金)の東京市場は119円をはさんだ動きとなっている。

 7日の調整局面で、目先ドル高を見込んでいた筋は腰砕けとなった。ただし、一段の円高局面では当局による強力な円売り介入が見込まれるため、現状から積極的にドル売り円買いを進める市場参加者は少ないと思われる。当面はレンジ推移か。

 G-SECインデックス速報は50.0。基本的にはレンジ相場が続くとの見方だ。