2003年 4月5日の放送

< 1 >

  イラク戦争で揺れる世界経済だが、最近発表される景気指標にもその影響が現れてきている。上は今週発表されたユーロ圏の景気指標。31日に発表された3月の消費者信頼感指数はマイナス21となり(緑色の棒グラフ)、前月より2ポイント悪化となった。昨年9月以来6ヶ月連続で悪化し続けている。国別に見ると、プラスはフィンランドのみで、他国はすべてマイナス。主要国では、フランスがマイナス30、イタリアがマイナス14、ドイツがマイナス21となっている。
  1日にはユーロ圏の失業率が発表されたが、こちらも悪化が続いている。2月の失業率は前月より0.1ポイント上昇し8.7%となった。失業率は2001年は8%で落ち着いていたが、昨年より上昇傾向にあり、その傾向に歯止めがかかっていない。

< 2 >

  アメリカはどうか。1日に発表された米製造業景気指数(ISM)は、5ヶ月ぶりに節目の50を割り込み、46.2となった。このうち、新規受注や生産などの項目が拡大から縮小に転じている。イラク戦争懸念、需要の後退、エネルギー価格の高騰などが景況感の悪化要因になったと指摘されている。
  また、3日に米労働省が発表した新規失業保険申請件数(3月29日終了分。季節調整済み)は、前週比3万8000件増の44万5000件とほぼ1年ぶりの高水準。上の黄色の棒グラフは、各月の1週間あたりの平均申請件数の推移。この1年間40万人前後と歴史的に見ても高水準で推移しているが、最近3ヶ月は特に増加傾向にあり、3月の1週間あたり平均申請件数は、426千件にのぼっている。

< 3 >

  日本は、1日に日銀短観が発表された。全体的に若干の改善にはなっているが、そのトーンは弱い。注目された大企業・製造業の景況感はマイナス10となり(上の棒グラフ) 、5期ぶりの悪化となった。31日に発表された2月の鉱工業生産は、前年比でプラス4.2%の上昇となっているものの(オレンジ色の線グラフ)、その増勢は弱まっている。内需低迷のなか、輸出の勢いが落ちているのが原因。
  2月の新設住宅着工件数は前年比マイナス2.8%と、4ヶ月連続前年比割れとなった。需要の低迷が続いているが、中身を見ると、持ち家の着工は前年比マイナス1.8%と9ヶ月連続で減少している一方、貸し家の着工は同プラス6.0%と2ヶ月連続で増えている。徐々に日本人の持ち家志向が崩れてきていると言えそうだ。

< 4 >

  さて、このような環境下、今後世界経済の成長見込みはどうか。2日に世界銀行は今年の世界経済見通しを発表している。それによると、世界全体では今年は2.3%の伸びとなり、昨年の1.7%より拡大する見通しだ。2003年の成長見通しは米国が2.5%、日本が0.6%、ユーロが1.4%とそれぞれなっている。昨年より上向きの予想とはなっているものの、世銀のトーンはかなり警戒色の強いものになっている。
  原油高やイラク戦争により、個人は支出を抑え、設備投資も抑制されるだろうと言う。市場はイラク戦争終結に向けやや楽観的になっているが、“戦争が終結してもやっぱり景気は悪かった”という可能性はまだ残っている。

< 5 >

  28日(金)の海外市場は120円台前半で寄付いたものの動意乏しく、結局119円83銭で越週した。31日(月)の東京市場は119円88銭でオープン。しかしイラク戦争長期化の懸念からドル売りが徐々に強まり、118円台後半で引けた。海外でも米株下落などがドル売りを誘い、118円ちょうどまで売られて引けた。
  1日(火)の東京市場は118円近辺での小動き。海外でも一方向に動きにくい相場が続き、118円レベルで引けた。2日(水)の東京市場は117円台後半でオープンしたが、塩川大臣が円高牽制発言を行なったことを受け、ドルは対円で堅調な推移となった。海外では、米英軍のバグダッド進攻が近いとの観測からドルは続伸し、119円近い水準まで買われて引けた。
  3日(木)の東京市場は119円を挟んでの小動き。海外は118円台後半で取引が始まったが、米英軍がバグダッド付近にあるサダム国際空港近くに到着し、首都制圧の準備に入ったとの報道を受け、ドルは対主要通貨で上伸、119円35銭で引けた。4日(金)の東京市場は、120円前後での推移となっている。
  週初はイラク攻撃が長期化が必至との見方から株価下落、ドル安の展開となったが、米英軍が市場の予想以上にバグダッド進攻を早めたことで、ドルは一転買い戻される展開が続いている。ドルは中期的にはまだ下落の可能性が残っていると思われるが、短期的にはもうしばらくドル買戻しの展開が続きそうだ。ただし、米景気の悪化も目立っており、大きな動きは見込みにくい。  G-SECインデックス速報は50.0と、まったくのニュートラルとなっており、市場参加者の相場観は一方向に傾いていない。