2001年9月15日放送 マーケット・ナビのポイント

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11日(火)の米国テロ事件は世界中に衝撃を与えたが、日米欧の中央銀行が迅速に大量の資金供給を行ったことなどを受け、金融市場は比較的冷静に受け止めている。事件発生直後は独DAX指数が一時13パーセントほど落ち込んだり、ドル円が3円以上急落するなど大きな混乱を見せたが、その後は取引手控えムードが拡がったこともあり、落着きを取戻しつつある。

グラフは独DAX指数、英FT100指数の推移であるが、両指数とも12日(水)以降は緩やかながらも上昇に転じている。米国株式市場は週明け以降の再開となるが、イニシャル・インパクトは他市場で吸収されており、再開後急落することは避けられそうな見通しである。ただし、今後被害の波及が明らかになるにつれ、売り圧力が強まる局面も出てくるだろう。

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商品市場も同様に冷静な動きを見せている。ロンドンの北海ブレント先物中心限月は、11日の場中に昨年12月以来となる31ドル越えを見せたが、終値ベースでは30ドルを下回り、翌日以降は落ち着いた動きとなっている。金先物も同様の動き。 「時間の問題」と見られながらも、なかなか10,000円の大台を割らずに11,000円台で推移していた日経平均であるが、米国テロ事件直後の12日(水)の市場ではあっさり、大台を割り込み、1984年8月以来の9,610.10まで下落した。下落幅は682.85、下落率は6.63%となり、後者は史上8番目の水準。13日(木)は小幅上昇であったが、14日(金)午後には大手スーパーのマイカルが自力再建を断念し法的整理に入るとの報道が出て、これを好感した買いが集まり、10,008.89と大台を回復した。

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今回の米国の同時多発テロを受け、景気の先行きが一層不透明になったと見る向きが多い。影響は様々なところに出ると考えられるが、最大の懸念は消費者心理の冷え込みであろう。現在の米国景気は消費が辛うじて支えている状況であるが、この「最後の砦」が崩れるとしたら、景気後退に追い込まれる可能性が高い。

グラフは湾岸危機前後の、ミシガン消費者信頼感指数と実質GDP成長率(前期比年率)をプロットしたもの。90年8月にイラク軍がクウェートに侵攻したことを受け、消費者信頼感が急速に低下した。これを受けて、耐久財を中心に消費が急減速、同年10〜12月の実質個人消費は前期比年率で▲3.3%と7〜9月期の同+1.5%と大幅に下落、経済はリセッションに入っていった。

今回は、米国内が「戦火」におかれたことで、消費者心理に与える影響は湾岸戦争時の比ではないであろう。既に各種イベント等の中止が相次いでいるとの報道もある。

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前ページと同じ2系列の足許の様子を見てみよう。13日(木)に発表された9月のミシガン大学消費者信頼感指数速報は83.6と7.9ポイントも悪化した。93年11月以来の低い水準。今年5月からやや持ち直す気配も出ていたため今回の数字はショッキングなものとなった。

今回発表の速報のもととなるサーベイは10日(月)で締め切られており、今回のテロ事件の影響は織り込まれていない。にもかかわらず、このような悪い数字となった背景には急速に悪化する雇用環境があると思われる。こうした中で発生した今回のテロ事件のタイミングは極めて悪かったと言わざるを得ない。

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8月下旬からやや円高が進行していたが、先週は日本株の大幅下落、オニール長官の「為替の問題に関し日本側の議論に耳を傾ける用意がある」との発言等を受けて、ポジション調整中心のドル買いが進んだ。週明け後もドル買いの動きは続き、11日(火)のテロ事件直前には一時122円を超えた。事件発生で、ドルは主要通貨に対して全面安となり、ドル円は一時118円台半ばまで売りこまれた。事件後は、資金決済(特にドル)に不安があることから殆どの市場参加者が取引を手控えており、市場は小動きとなっている。電子ブローキング・システムは動いており、ニューヨークにおける資金決済システムも正常に稼動していてインフラ上の問題は少ないと見られるが、本格的な取引が再開するのは来週以降と考えられる。

市場の見通しとしては今回の事件を受けてドルの下落を見る参加者がいる一方で、金融市場が正常化した際には米国人による資金の本国還流が出てくるだろうとの見方から、目先のドル高を予想する向きもある。今回の事態を受けて、今後ドルが急落した場合、米国通貨当局によるドル買い介入が出てくる蓋然性が高まったと考えられることから、週明け以降も大きくドルを売りこむ動きは出てきにくいと考えられる。

来週の予想レンジは115円〜120円。G-SECドル円指数はややドル高を示す54.5。前週からの推移は▲1.1ポイントで、ややドル・ブルが減少。