今週の謎

#24 2012年9月10日放送

今週のテーマ:「東海道五十三次 其ノ三」

歌川広重の傑作、「東海道五十三次」。
江戸、日本橋から京都の三条大橋までの53か所の宿場を描いた浮世絵です。そこには、広重の驚くべき画力と江戸の旅の真実が隠されていました。今回は、東海道の難所「大井川」を越えて、終点の京都を目指します。広重が残した、最大の謎を求めて…。

「今週の川柳」
夜はなき ひるは旅人の しやまに成
ダイジェスト動画

過去の放送一覧をみる

江戸のうんちく学

歌川広重は、寛政9年(1797年)、江戸の火消同心の家に生まれました。15歳の頃、浮世絵師・歌川豊広に入門。後に家業を親族に譲って絵師の道に専念し、主に風景版画の傑作を数多く残しました。その代表作が、天保4年(1833年)から順次発表された東海道五十三次です。広重は天保3年、幕府が朝廷に馬を献上する行事の一行に加わって、京都まで旅したと言われています。その際の経験を元に、このシリーズを描いたと考えられてきました。しかしその説は近年疑問視されています。まず、後半の絵に「東海道名所図会」というすでに存在していた本の挿絵とよく似た構図が散見されること。特に石部の絵はよく似ています。さらに、京都の三条大橋の橋桁は当時石だったにも関わらず、木の橋として描いていること。などがその理由です。しかし、実際に旅したかどうかは別として、江戸の旅ブームに火をつけ、今もその魅力を放ち続ける作品であることは間違いありません。

江戸料理のあれこれ

「たまごふわふわ」

文化10年(1813年)、大阪の豪商、升屋平右衛門の旅日記「仙台下向日記」によると、袋井の宿場に泊まった際、「玉子ふわふわ」なる料理が朝食の膳に乗ったと記されています。撹拌させた卵を沸騰しただし汁に加えて蒸すだけの、シンプルな料理ですが、ふわっと仕上げるのが難しいそうです。ふわふわの食感の茶碗蒸しのような味。江戸時代、袋井周辺は養鶏が盛んだったため、卵も手に入りやすく、名物料理になったと考えられています。

おとな浮世絵コレクション

番組内で紹介した浮世絵はドコモのスマートフォン、携帯電話でご覧いただけます。ご紹介する浮世絵は毎週更新しております。