鷹宮光次郎（五木ひろし）は高名な刀研ぎ師だ。次期人間国宝候補とも噂され、充実した日々を送っていたが、七年前のある日最愛の妻・八千代（藤あや子）が家出をし行方不明になっていた。 光次郎は包丁を研ぎながら八千代を探す旅を続けているが、今回は馴染みの売れない演歌歌手、春風うらら（相田翔子）から八千代が福井県の美浜町にいるらしいと聞きこの地にやって来た。 うららはマネージャーの小早川一元（つんく♂）と共に営業で美浜に滞在中だ。うららの情報は結局人違いだったと分かる。 その夜、光次郎たちは元漁師の山岸健一郎（深水三章）が営む民宿に宿泊し、土地の料理と酒で盛り上がる。 ところが翌朝、町を出ようとした光次郎は、地元の警察官、小平隆三（赤塚真人）と大俵太（津村知与支）に殺人事件の容疑者としていきなり逮捕される。漁師の白崎巌（堀勉）が刃物で殺され、仕事がら刃物を持ち歩いているよそ者の光次郎に嫌疑がかかったのである。 幸い警察署長の真中悟（堀内孝雄）が光次郎とは旧知の仲で誤解は解けたが、今度は逆に刀に関する深い見識を買われ、光次郎は事件解決に協力することになる。光次郎は被害者の刀傷を詳しく調べて凶器を特定し、犯行の手口を推理する。 だが光次郎が宿泊していた宿の主の山岸が逮捕され、事件は思わぬ展開を見せる。犯行が行なわれた夜、山岸と被害者が言い争っている姿が目撃されており、山岸は犯行を認めているという。 事の成り行きに驚く光次郎たちだが、その上、町で食堂を営む北浦恵美（喜多嶋舞）の夫、直人（山崎直樹）も何者かに刺され瀕死の重傷を負う。同一犯の仕業か。山岸以外に容疑者がいるのだろうか。 やがて光次郎はこの町で十四年前にも不気味な事件が起こっていたことを知る。容疑者の山岸と殺された白崎そして重傷を負った北浦を含む五人の漁師が海に出て、帰って来た時は一人消えていたというのである。なぜか関係者は堅く口を閉ざし真相は闇の中だ。 光次郎はこのミステリーが今回の殺人に関わっていることに気付く。さらに男が消えたその時期に、記憶をなくした謎の男が近くの浜に打ち上げられていたことも判明する。殺人事件とミステリーとの関係とは？　光次郎の推理が冴える…